ルイ茶長さんの再発、余命宣告

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【日 時】2018年12月23日(天皇誕生日) 13:10~16:30(開場・受付:12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分 Luz大森 4階 入新井集会室
【参加資格】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参 加 費】500円(会場使用料及び資料代)
【定 員】 130名
【内 容】
●講演「私が手術、抗がん剤をやめたわけ」:待夢さん、SAKUさん
●患者さんどうしの情報交換会
●二次会(希望者だけ)

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同じ膵がん患者の茶長さんのブログに「再発しました。余命半年です」という書き込みがあり、驚いています。私と同じステージⅢの膵がんで膵頭十二指腸切除を昨年の10月にされて、術後1年を無事に達成された矢先でした。今年9月の定期検査でも腫瘍マーカもCTも「異常なし」であったものが、その後身体全体の激しい痛みが起きていた様子はブログにも書かれていました。しかし、ご本人もまさか再発しているという可能性は想像していなかったのでしょう。3ヶ月前には「異常なし」のお墨付きをいただいていたのですから。

膵がんの「足の速さ」は想像を絶するものがあります。ダブリングタイムが3~4週間ということですから、5mmの直径のがん細胞があり、CT等の検査にはかからなかったとしても、3週間で2倍になるとすれば3ヶ月では2^4で12倍、直径は2.3倍になります。5mmが12mmとなって立派ながんの固まりに成長するのです。実際は人によってはもっと早いこともあり得るのですから、あらためて膵がんの怖さを再認識させられました。

ルイ茶長さんの落胆はいかばかりかと、かける言葉もありません。もはや完全治癒の可能性はほとんどないでしょうが、それは統計的に言えばというだけのことです。「余命宣告」なんぞは、無視してください。神でもない、たかが一介の医者が他人の余命を宣告するなどということは傲慢なことに違いありません。医者はこれまでの経験から推し量って宣告するのでしょうが、例外的な長寿者は必ず存在してきました。私の母も肺がんで余命半年と宣告されてから7年も生きて、独り暮らしで立派に生活していました。余命宣告ほど当てにならないものはないと思っています。

ルイ茶長さんは、これからの治療方針を「無治療」と決めているようです。そのように担当医にも宣言された由。それも立派な決断でしょう。がんは局所の病気でもあると同時に全身の病です。再発しやすい者は結局再発しやすい。膵臓がんに顕著に効く抗がん剤など存在しないのですから、所詮は毒を盛られて死ぬか、がんで死ぬかの違い。数ヶ月(ときには数日)の延命効果のために、つらい副作用に耐えるのか。そのように考えれば「無治療」で痛みの緩和だけをするというのも、私は良い決断であろうと思います。

ただし、これは誰にも同じ抗がん剤を見境亡く投与するという「標準治療」を考えた場合です。生活の質(QOL)を維持できる程度の抗がん剤での休眠療法という考え方もあるし、延命していればあと1年程度でがんペプチドワクチンが膵がんに保険適用されるという可能性も大きくなっています。(がんペプチドワクチンの現状での私なりの評価は以前に書いています。現状ではあまり多大な期待は禁物という評価なのですが)それまではつらい副作用にも耐えてチャンスを待つ、これも立派な決断でしょう。

がんにならないために、あるいはがんを治療するために捧げた人生のようなものは実につまらない人生に違いない。世間では「がんと立派に最後まで闘って、他の患者に希望を残した」とか、「末期がんの患者を温かく見守った家族」というテレビドラマになるような「美談」が溢れていますが、そんなものはマスコミが稼ぐ道具にされているだけのこと。お涙ちょうだいの美談になんか金輪際するつもりのない私としては、茶長さんの「無治療」という選択も、よく考えた結果であるのなら大賛成です。「闘わない」という選択肢も立派な治療法でしょう。

そもそも「がんと闘って」いる患者はいるのでしょうか。いや、実際は闘っているのではなく「耐えている」のいうのが実情ではないでしょうか。副作用に耐えている、死の恐怖に耐えている。抗がん剤を投与して闘っているように見えますが、身体の中では正常細胞も同じように攻撃され、その副作用に「耐えている」のです。「死」と闘っているわけではないでしょう。そんな相手と闘っても負けるに決まっている。400万年の人類の歴史上、死と闘って勝ち残った者は一人もいません。「死」の恐怖に耐えている。負けるに決まった戦はしないというのは戦略の一番の基礎です。

ジェムザールが効かなかった患者がTS-1に変えたら劇的に効いたという例、休眠療法で膵がん再発後7年以上も元気だという例、あるいは死を納得して「もう結構です。治療はしません」と決めたら、とたんにがん細胞が消えてしまったという例。がんもいろいろです。一人ひとり違うから、統計データを見て判断するなんてことは難しい。統計はあくまでもある傾向を表わしているだけ。どうなるかは「やってみなければ分からない」これが本当のところでしょう。がんの治療方針を決めるのに、これから先は統計の大数の法則も、ベイズ理論も役には立ちません。同じ膵臓がんでさえ人によって様々に違うのだから、そもそも母集団が均一という統計の基礎が成り立っていない。ベイズ理論に基づく確率にしたって、私の生きる可能性を計算はするが確約してくれるわけではない。

ギャンブル的に一発逆転をねらうか(それで成功した例もいろいろな本に書かれています)、あえて無治療という選択をするか、標準治療でエビデンス通りの結果でよしとするか、その人の価値観と哲学、持っている情報の量と質に基づいて選択するしかないし、自分が選択した治療法が「最適」な治療法だといって良いと思います。(「最適」だったかどうかの検証のしようがない)

「がんばってください」という言葉はがん患者が一番聞きたくない言葉だといいます。「これ以上どうやってがんばるの?」といわれたら返す言葉がないでしょう。ですからルイ茶長さんにも「がんばれ」なんて脳天気なことはもうしません。ご自身の納得できる道を選んでください、とそれだけです。「ここまで来たら誰に遠慮なんかいるものか、好きなようにさせてくれ」で良いのです。でも、希望はまだあるのですから、それだけは忘れないようにしてください。

どういうふうに死ぬかということぐらいは自分で決めさせて欲しい。世の中余計なお節介が多すぎるように思うこのごろです。

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ルイ茶長さんの再発、余命宣告” に対して1件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    バーディさん。
    すごいですね。ステージⅣaの膵臓がんが画像上では消えてしまったのですか?
    だから、がんは不思議です。何が起きてもおかしくはないと言われる所以です。
    想像するに、バーディさんの「絶体に治ってみせる」という気持ちと、アッケラカンと受け止める心の有り様が、一番の抗がん剤ではなかったかと思います。がんにとっては、不安な気持ちを持つことが一番の餌です。
    大変励まされるコメントをありがとうございました。どこかにもっと詳しい闘病の上京を書かれる時がありましたら、是非教えてください。
    ルイ茶長さんも、バーディさんのこのコメントを見ていてくださると良いのですが。

  2. バーディ より:

    はじめまして。いつもブログ拝見させていただいております。無知な私にとりましてキノシタ様のブログはたいへん勉強になり、貴重な情報源となっております。心から感謝申し上げます。
    私(40代・男)はちょうど1年前に手術不可能、ステージⅣaの膵癌で余命半年を告知されました。当時キノシタ様のブログを拝見し手術が出来て羨ましく思ったことが思い出されます。それから1年間いろいろとありましたが先週のCT検査でやっと主治医から腫瘍が見えなくなくなったと言う言葉をもらうことが出来ました(主な腫瘍マーカーもすべて正常値になりました)場所が場所だけに再発・転移の覚悟はしていますが。。。
    キノシタ様のおっしゃるとおり「余命宣告」などというものは無視するべきと思います。私は「先生の言うとおりに治療すれば半年かもしれないが俺は俺の考えで治療して絶対生きて見せる!!」と自分に言い聞かせてここまで来ました。「闘い・・」ではなく「耐えること」がこれからもずっと続くと思いますがこれもまた我が人生と腹をくくってアッケラカーンと生きていこうと思っております。これからも宜しくお願いいたします。

  3. キノシタ より:

    茶長さん。
    余計なお節介を書いたのではないかと心配していました。茶長さんのブログのコメントは500字の制限があるので、私の意を尽くせないと思いました。
    中島梓の「転移」は、膵臓がん末期の状態を想像するのにはよいかも知れません。でも、いま茶長さんに必要なのは、末期の膵臓がんから生還した人たちの話ではないでしょうか。彼らに起きたことは茶長さんに起きても不思議ではないと思うのです。
    「やぶいぬ応援団」にそれらの生還者の記録がまとめてリンクされています。
    http://d.hatena.ne.jp/yabuinu5/20061128#InspirationalStories
    また、パンキャンジャパンにも「サバイバー体験談」がありますよね。
    小川 嘉子 「負けない!泣かない! 膵臓がん闘病記」
    茶長さんと同じく、膵がんの手術後一年で再発した方の記録です。淡々と書かれていますが、希望を持って生きている姿がまぶしいです。
    ご健闘と治癒されることをお祈りしております。完全治癒を目標に掲げることだって夢物語ではないと思うのです。

  4. ルイ茶長 より:

    記事にしてくださった そのお心使いと やさしさに 深く感謝いたします。
    疼痛治療入院で痛みが少なくなり、癌と疼痛治療を兼ねた放射線治療を受けても良いかなというところまでは 心が回復しております。
    中島梓の「転移」 昨日アマゾンから届きまして 読み始めています。
    いつも大切で必要な情報を発信してくださり ありがとうございます。
    皆様の灯台として いつまでもお元気でいてくださいね。
    検査結果異常なし、おめでとうございます♪♪♪

  5. キノシタ より:

    プラテロさん。
    まだ再発もしていない私が何を書いてもむなしく響くだけのように思います。
    映画館で熊に襲われくられるシーンを見て、心底怖い思いを経験したからといっても、実際に山中で目の前に仁王立ちになった腹を空かした熊に遭遇することとはまったく別の問題ですよね。小便を漏らすかも知れませんし、心拍数が上がって気絶するかも知れません。
    再発を恐れて死を思うことと、プラテロさんや茶長さんのように、実際に再発を告げられて余命宣告されることとは、映画の熊と山中の熊ほどの違いがあるのでしょう。
    それにもめげずに、冷静に受け止めようとされているプラテロさんの決意がすばらしい輝きを持っているように思います。
    ご健闘されることをお祈りいたしております。

  6. プラテロ より:

    キノシタ様、いつもブログを拝見しております。
    検査結果異常なしとのこと、おめでとうございます。
    私は2007年9月膵臓ガン(膵内分泌腫瘍)の手術をしましたが、先週のCT検査で肝臓に転移、再発が発見されました。とてもショックですが、今なんとか冷静に努めて、あきらめずに休眠療法を受けようと検討しています。
    ルイ茶長さんのブログも見ていますが、改めて人類最大の強敵、ガンの怖さ、しぶとさを感じます。
    キノシタ様はいろいろな本を紹介しておられ、いつも参考にしております。
    また、リーマン予想は、数学は全く知らないのですが、とても刺激的でワクワクしました。
    これからもお元気でご活躍をお祈りしております。

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