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再臨界は起きるか?

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気もそぞろで、落ち着かない毎日が続いている。がんの告知を受けたときでさえ、こんな気分にはならなかった。もちろん、地震・大津波、そして収束する気配のない福島第一原発が原因だ。

今一番の心配は、1号機で再臨界が起きることがあるのかということ。

東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の約1・5キロ・メートル西にある正門付近で、これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、12~14日に計13回検出されていた、と発表した。
観測データの計算ミスで見落としていたという。

(2011年3月23日13時10分  読売新聞)

これらの報道を受けて、IAEAがオーストリア、ウィーンで30日に開いた記者会見で、福島第1原発が「再臨界」の可能性もあるとみて分析作業を進めていることを明らかにしたと、ブルームバーグ日本語版は2011年3月30日付記事で伝えた。(こちらに関連記事

1号機は燃料棒が70%損傷していると、東電も認めている。すでにジルコニウムは溶けていて「棒」の形をしていないと思われる。燃料ペレットがむき出しになり、一部は圧力容器の底に落ちているのかもしれない。となると、再臨界の可能性が高くなる。

3月25日に東電が公表したというデータに、塩素38(Cl-38)という核種が含まれている。(情報源はこちら)これは本当に驚愕すべきデータだ。
Wshot00225

緊急冷却のために注入した海水に含まれている塩分(NaCl)が、原子炉内の中性子によって放射化されて生成したものであり、半減期は37分である。燃料の核反応による核反応生成物から中性子が出されているのだから、塩素38が生成されても不思議ではないが、その量が多すぎる。こんなに大量の塩素38が生成されるには、核燃料が「再臨界」していると考えないと説明がつかない、ということを式を使って計算しているのが、この図のあるサイトである。

このサイトの日本語訳(数式などを除いた一部)はこちら
全文掲載が転送条件なので、その一部を紹介することができない。リンク先を開いてください。

再臨界については京大原子炉実験所の小出裕章助教も、大阪MBS毎日放送のラジオ番組で指摘している。(こちらにまとめられている)

小出)はい、それ(塩素38)が検出されたことになっていて、それは「再臨界」が起きているということにしないと説明がつかないのです。ただ、測定の誤りということは、
これまで東電と政府の発表はそれはもう山ほどありましたから、測定の誤りの可能性もまだあると思いますが、その塩素38という核種はちょっと変わった放射
性核種ですが、それが出すガンマー線ていう放射線を出すのですが、間違えて検出することは私はないと思うんです。だから、もし東京電力の発表が正しい、分
析が間違っていないのだとすると、「再臨界」になっているのではないかなと、思うようになりました。

塩素38の半減期は37分だから、1号機からの漏洩水を続けて分析すれば、再臨界が起きているかどうか、分かる。しかし、東電は一度のデータ公開しかしていない。危険でサンプル採取ができないのかもしれないが、何としてでも測定しているはずである。東電は「大丈夫」とか「安定している」などの解釈はいらないから、生のデータを出すべきだ。

再臨界が起きたとしても、チェルノブイリのように爆発することはない。武田邦彦さん(中部大学)のサイトでは、

もっとも危険なのは、「圧力容器内の核爆発」で、これを止めるには「ホウ素の投入」が必要です。ですから、「ホウ素」という文字が出てきたら、逃げる準備が必要です.

と説明されているが、これは正しくない。再臨界を防止するにはホウ素の注入は有効です。武田氏の原発関係の説明は、多くが有益な情報ではあるが、中にはとんでもない誤解が含まれているので注意が必要だ。再臨界=核爆発ではない。

チェルノブイリのような爆発(圧力容器が宙に浮き上がったという)はないが、解けた燃料が再臨界を繰り返し”ぶつぶつ”と沸騰した状態が続くと、スリーマイル島原発事故のように圧力容器の底が溶けていく。最終的には大きな穴があく可能性がある。水蒸気爆発の起きることも考えなければならない。

このような綱渡り状態を1年以上も続けなければならないが、その間に何らかのトラブルあるいは大きな余震が来て破局的に事態が進展する、こんな予想は、宝くじに当たる確率よりよほど高いはずだ。最悪のシナリオを考えて準備をしておくことだ。


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再臨界は起きるか?” に対して1件のコメントがあります。

  1. へんてこりんこ より:

    キノシタ様
    いつも本当に指標になる記事をありがとうございます。
    リンクフリーということで、勝手ながら、あちこちに紹介させていただいています。
    お礼を申し上げます。

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