椋鳥には千羽に一羽の毒がある


【日 時】2020年9月21日(敬老の日) 13:00~16:00(開場:12:45)
【参加資格】膵臓がん患者とその家族
【参 加 費】無料
【定 員】 100名
【内 容】
第一部 講演:佐藤典宏先生
   「膵臓がんの標準治療と代替医療~外科医の立場から~」
第二部 患者さん同士の交流会。コロナにも膵臓がんにも負けないぞ!

ウェブ会議ツール「Zoom」を使ったWeb交流会となります。
スマホだけで簡単に参加することができます。


詳しくはオフィシャルサイトで

9月20日9:00AMまで参加申込受付中です。
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野中兼山は、江戸時代初期の土佐藩の家老で、藩政改革その手腕を発揮した。優れた政治家であり儒家でもあった。大原富江の小説『婉という女』は、野中兼山の四女の物語である。野中兼山の評価は真っ二つに分かれている。藩政改革の功労者という評価と、圧制者という評価であり、最後は反対派の策謀により蟄居させられて自殺する。残された家族のその後は悲惨であった。大原富江は『婉という女』でその苛酷さを書ききっている。

5月の土佐路は、歩き遍路と鯉のぼりが田植えに忙しそうなあぜ道を飾って長閑な季節である。イタドリとヤマモモの季節でもある。同じ土佐人である寺田寅彦に『郷土的味覚』という随筆があり、虎杖(イタドリ)とヤマモモについてこのように書いている。

 虎杖(いたどり)もなつかしいものの一つである。日曜日の本町の市で、手製の牡丹餅などと一緒にこのいたどりを売っている近郷の婆さんなどがあった。そのせいか、自分の虎杖の記憶には、幼時の本町市の光景が密接につながっている。そうして、肉桂酒、甘蔗、竹羊羹、そう云ったようなアットラクションと共に南国の白日に照らし出された本町市の人いきれを思い浮べることが出来る。そうしてさらにのぞきや大蛇の見世物を思い出すことが出来る。
 三谷の渓間へ虎杖取りに行ったこともあった。薄暗い湿っぽい朽葉の匂のする茂みの奥に大きな虎杖を見付けて折取るときの喜びは都会の児等の夢にも知らない、田園の自然児にのみ許された幸福であろう。これは決して単なる食慾の問題ではない。純な子供の心はこの時に完全に大自然の懐に抱かれてその乳房をしゃぶるのである。
 楊梅(やまもも)も国を離れてからは珍しいものの一つになった。高等学校時代に夏期休暇で帰省する頃にはもういつも盛りを過ぎていた。「二、三日前までは好いのがあったのに」という場合がしばしばあった。「お銀がつくった大ももは」という売声には色々な郷土伝説的の追憶も結び付いている。それから十市の作さんという楊梅売りのとぼけたようで如才のない人物が昔のわが家の台所を背景として追憶の舞台に活躍するのである。

イタドリは多摩川の河川敷にもたくさんあるが、都会の人間は誰も採ろうとはしない。いや、食べられることすら知らないようだ。あんなにうまい山菜を勿体ない話だ。イタドリの群生地をいくつ知っているかが、土佐のお袋たちの自慢であった。子供は大きなイタドリを「ポキッ」と折ったときの感激に歓声を上げたものである。ヤマモモも都会の果物屋では滅多に見かけない。

続けて寅彦は、この随筆に『「千羽に一羽の毒がある」と云ってこの鳥の捕獲を誡めた野中兼山の機智の話を想い出す。』と書いている。そしたらその後、女学校の先生からその出典について問い合わせの手紙が来たと、別の随筆『藤棚の陰から』に紹介している。

 しかしこの話は子供のころから父にたびたび聞かされただけで典拠については何も知らない。ただこういう話が土佐の民間に伝わっていたことだけはたしかである。
 野中兼山は椋鳥が害虫駆除に有効な益鳥であることを知っていて、これを保護しようと思ったが、そういう消極的な理由では民衆に対するきき目が薄いということもよく知っていた。それでこういう方便のうそをついたものであろう。
「椋鳥は毒だ」と言っても人は承知しない。なぜと言えば、今までに椋鳥を食っても平気だったという証人がそこらにいくらもいるからである。しかし千羽に一羽、すなわち〇・一プロセントだけ中毒の蓋然率(プロバビリティ)があると言えば、食って平気だったという証人が何人あっても、正確な統計をとらない限り反証はできない。それで兼山のような一国の信望の厚い人がそう言えば、普通のまじめな良民で命の惜しい人はまずまず椋鳥を食うことはなるべく控えるようになる。そこが兼山のねらいどころであったろう。
 これが「百羽に一羽」というのではまずい。もし一プロセントの中毒率があるとすればその実例が一つや二つぐらいそこいらにありそうな気がするであろう。また「万羽に一羽」でもうまくない。万人に一人では恐ろしさがだいぶ希薄になる。万に一つが恐ろしくては東京の町など歩かれない。やはり「千羽に一羽」は動かしにくいのである。

庶民のリスク感覚としては、千に一つは「避けたいリスク」だろう。1974年に確率論による原子炉安全研究、通称「ラスムッセン報告」が出された。私も記憶しているが、当時「原子力発電所における大規模事故の確率は、原子炉1基あたり10億年に1回で、それはヤンキースタジアムに隕石が落ちるのを心配するようなものである」とされていた。しかし40年の間に隕石は私の頭に落ちなかったが、大規模原発事故はスリーマイル、チェルノブイリ、フクシマと続いた。福島の事故の前には「10万年に1回」とのリスク計算がされていた。椋鳥の毒は方便であったが、原発事故は現実である。せめて千年に1回とでも言っておけば物笑いの種にはならなかっただろうに。

世界には運転中と建設中の原発が合計で478基ある(2008年1月時点)そうだ。1基で10万年に1回なら、世界では210年に1回の事故が起きることになるが、それでは計算が合わない。せいぜい1基あたり1万年に1回とすれば、21年に1回で、現実の大事故に見合うリスク計算になるだろう。

江戸時代の庶民感覚でも百に一つは避けるべきリスクと思われているのであるが、20年に1回起きて、起きてしまえば一つの県、地域全体が人が住めなくなるかもしれないようなリスクを犯そうというのは、いかにもばかげている。かように”専門家”の言うことはいい加減である。庶民の普通の感覚で考えれば簡単に答えの出る問題に対して、あれやこれやと「専門的な」数字を持ち込んでは、とんでもない間違いを犯す。よくあることだが、頭の良い人たちが大勢で集まって議論の末に、ばかげた結論を出すことが多いものである。中には「リスクがゼロではないとは、ゼロという意味だ」と、理解不能な言葉を発する斑目委員長もいる始末だ。中川恵一氏がまた不思議なことを言っている。「放射線被ばくの試練を、プラスに変えよう」などと、寅彦が笑いそうな記事である。

「ゼロリスク社会・日本」の神話は崩壊した。しかし、今回の原発事故は、私たちが「リスクに満ちた限りある時間」を生きていることに気づかせてくれたとも言える。たとえば、がんになって人生が深まったと語る人が多いように、リスクを見つめ、今を大切に生きることが、人生を豊かにするのだと思う。日本人が、この試練をプラスに変えていけることを切に望む。

子供たちの、将来がんになる確率が高まるというのに、この先生も専門バカの度が過ぎるようだ。中川氏は「100mSvまでは安全だ」と主張するのだから、安全なら「試練」にはならないだろう。受動喫煙も放射線も、避けられるし減らす努力はできるのだ。”頭脳明晰な役立たず”がテレビにたくさん出ている。

一度事故を起こせば、幾世代にもわたって取り返しが付かないようなリスクを、電気が足りない、原発は安い(この神話も崩壊するだろうが)という理由で負うことではない。企業が倒産するようなリスクを積極的に負い続ける電力会社経営陣のリスク感覚は麻痺しているようだ。トヨタにしても浜岡が福島のようになれば、企業が存続できないだろうと思う。なぜ自前の火力発電所を持ってでも原発に反対しないのか、不思議な経営者集団だ。

震度6強では、圧力容器や格納容器が仮に耐えたとしても、周囲の配管、配管の支持版、液状化による地盤の高低差によって配管や信号ケーブル、電気ケーブルが切断されたら事故に繋がることが今回証明された。証明されなくても”普通に”考えれば分かることであった。専門家は普通に考えないから、分からないだけだ。

「天災は、忘れた頃にやって来る」が、「救済は、忘れた頃に、やっと来る」ようだ。被災者にはまだ義援金も届いていないという。


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