スポンサーリンク

中川恵一 × 近藤誠 (1)

LINEで送る
Pocket

私が東京新聞に変えてのは3.11の前だが、NHKニュースや朝日などの全国紙の鑑定垂れ流しの記事を読むよりはずっと精神的に良い。首都圏に住んでいるのなら、新聞は東京新聞に変えることを薦めます。

今日の東京新聞「こちら特報部」は「反骨の言語学者・小島剛一氏」である。少数民族弾圧というもうひとつの顔を持つトルコ政府に抗したことで「永久国外退去」中の、フランス在住の言語学者である。この記事に中で、

「日本は深刻さ分かっていない」

サスペンス小説のような極秘の調査旅行では、放射能汚染禍も目の当たりにした。八六年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故による大規模な健康被害は、トルコの黒海沿岸一帯でも起きていた。
欧州の放射能汚染地図からトルコは消えているが、隠れた「ホットスポット」が存在したのだ。
「例えば、北東部にあるラズ語域のリゼ県メカーレスキリット村では、事故翌年の八七年に生まれた十七人の子ども全員が、九〇年代後半になり、白血病で命を落とした。その中には、私のひざの上で遊んでいた子どももいました」
同村を含めた黒海沿岸で二〇〇〇年以降、がん患者の発生率が以前の十倍以上に増えたという。
原発から千三百キロ超も離れた土地で、十数年後に被害が顕在化している。

<福島第一の事故で日本でも>いずれ各地で健康被害が明らかになるだろうが、政府も東京電力も「因果関係は証明できない」と主張するのではと危惧している。

と語っている。フランスの各メディアは、震災2日後の時点で「福島第一原発のメルトダウンは避けられない状況」であると断言していたという。アメリカ政府も同じ頃に無人機による調査でメルトダウンを確信していたから自国民の80キロ以遠への避難を勧告したのだ。

小さな村で同じ年に生まれた子どもの全員が「白血病」で命を落とす。しかし、こうした例はIAEAの統計には表われてこない。御用学者らは「被害が増加したことは証明されていない」という。しかし、非常に珍しい事例は、何らかの異常事態が起きていることをいち早く知らせてくれる。次のような例もある。

  • 1981年にカリフォルニア州からカリニ肺炎の症例が5例報告された。これだけなら珍しいことではなかったが、その患者全員がゲイだったのである。これがその後のエイズ禍が展開するサインであったのであるが、米国疾病予防管理センター(CDC)の週報のトップ記事にはならなかった。
  • 1974年、米国のある塩化ビニル製造工場の産業医が、自社の従業員3人が肝血管肉腫に罹ったと報告をした。産業医自身もその3名に含まれていた。肝臓がんの一種である肝血管肉腫は非常に珍しい癌であり、ひとつの工場で同時に3名が罹患したことだけで、塩化ビニル製造との因果関係を決定づけることができると言える。

011
エビデンスレベルの考え方で右のような図が良く紹介されている。代替療法を否定的に解説するときにもよく利用される。ランダム比較試験がもっとも信頼性が高く、下になるほど信頼性が低いと説明される。症例報告などは下から3番目である。

しかし、ランダム化比較試験でも乱雑に計画されたり、製薬企業の思惑などによるバイアスが入り込む余地があることは、このブログでも紹介した通りである。近藤誠氏もそうして指摘をしている。しかし、患者対象研究や症例報告が決め手となった例はたくさんある。人体への発がん性を分類している国際がん研究機関(IARC)で取り上げられている研究デザインは、後ろ向きコホート研究や患者対象研究が圧倒的に多く、ランダム化比較試験はむしろ少数なのである。

東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦氏の国会証言は、同じことを言っているのだ。

国立のバイオアッセイ研究センターという化学物質の効果をみる福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まる物を検討されていまして、福島先生たちがウクライナの医師と相談、集めて500例以上の、前立腺肥大の時に手術をしますと、膀胱もとれてきます。

れをみまして検索したところ、高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/リットルという微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかも、増殖性のぜん癌状態、我々からみますとP38というMAPキナーゼと、NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナルが活性化されているんですが、そ
れによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているという事が報告されております。
それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2~13ベクレル、7名で検出されているという事が既に報告されている事であります。

セシウム137が6Bq/リットルという微量が尿中に検出されたが、そのかなりの患者に増殖性の膀胱炎があり、上皮内がんができていた。こうした確率的に希な特異現象がある。そして、母乳から放射能が検出され、10人の検査した全員の子どもの尿からは放射性セシウムが合計で0.8~2.4Bq/lが検出されている。

食中毒事件が起きたとき、保健所は病原菌を検出して特定できるまで待ってはいない。患者の多くがその業者の弁当を食べたことが分かれば、直ちに回収して営業停止処分を出す。それが被害を拡大しない方法だからである。因果関係のメカニズム(この場合は病原菌)が証明されなくても良いのである。

福島第一の原発事故では、広島長崎の被ばく者にはがんが増加したと証明されていないとか、チェルノブイリでは小児甲状腺がん以外のがんはなかった、あるいは住民に健康被害を与えたという結論は出ていない、とか説明をする学者がいる。

中川恵一氏が『放射線のひみつ』を出版し、近藤誠氏が『放射線被ばく CT検査でがんになる』を出している。次回はこの両者を対決させながら考えてみたい。

<(2)に続く>


がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

このブログの関連記事

  • 門司港レトロ門司港レトロ 小倉での講演を終えて、翌日ぶらりと門司港へ。レトロな門司港駅の駅舎は工事中でその姿を見ることができなかった。 スライドギャラリー『レトロ門司港』 門司港には2005年 […]
  • オフ会とライブオフ会とライブ Purple_Hazeさんのライブと膵癌のオフ会。35度の猛暑です。3時間ほど前に吉祥寺駅に行き、井の頭公園でカメラを担いで散策をしました。いつものパターンです。ともかく「歩け! […]
  • シュレベールの箴言(6)シュレベールの箴言(6) 免疫細胞は、客観的に見て、より”生きる価値”があるように見える人生を送っている人間の体内では、それだけ活発に動くかのように見える。 がん細胞に対して活発な免疫システ […]
  • 「笑い」はがん細胞を消滅させるか?「笑い」はがん細胞を消滅させるか? 「10分間大笑いしたあと、2時間は激しい痛みも感じることなく、ぐっすりと眠ることができた」と、ノーマン・カズンズは、『笑いと治癒力』のなかでこう言っています。笑いはこころ […]
  • シュレベールが、がん患者に残した「大切な遺言」 シュレベールは、自分の最期の時に流して欲しい音楽を決めてあったのです。それは、ダニエル・バレンボイムが指揮・ピアノ演奏する、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 […]
  • 芋焼酎「竜馬」芋焼酎「竜馬」 日曜日に、自宅である雑誌の取材を受けました。仕事ともガンとも関係のない雑誌の取材ですので内容は省きますが、編集者(インタビューア)の方とカメラマンが二人。私の出身地を書いた名刺を […]
  • 支離滅裂で、やめられない支離滅裂で、やめられない 科学的判断と決断力 がん治療においては、検査をし、治療方針を立て、その結果をまた検査で確認します。 結果が思わしくなければ治療方針を変えます。これ以上治療を続けると […]
  • がんには深蒸し茶の粉茶がよいがんには深蒸し茶の粉茶がよい カテキンには、強力な抗酸化作用と突然変異抑制作用があることが、多くの研究によって明らかにされています。カテキンは緑茶の渋みの成分です。よって、渋みが強い緑茶ほど、がんを抑える効果 […]
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です