「最悪のシナリオ」は今後も起こり得る

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毎日新聞12月24日の記事『福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成』はやはりそうかという感慨と、この政府は東日本の国民が致死的な大量被ばくすることも覚悟していたのだと、驚愕を覚える。

福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成

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東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。

近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。

最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。

近藤氏は「最悪事態を想定したことで、冷却機能の多重化などの対策につながったと聞いている」と話した。菅氏は9月、毎日新聞の取材に「放射性物質が放出される事態に手をこまねいていれば、(原発から)100キロ、200キロ、300キロの範囲から全部(住民が)出なければならなくなる」と述べており、近藤氏のシナリオも根拠となったとみられる。(毎日新聞 2011年12月24日)

原発事故…その時、あなたは!
私は3月15日のブログ記事「政府は、妊婦と乳幼児を直ちに避難させよ!」で京大原子炉実験所の、いまは亡き瀬尾健さんの著作『原発事故…その時、あなたは!』から福島第一原発の放射能拡散予測図を引用して、次のように書いた。『ここは慌てることなく対応しようではないか。「慌てることなく」というのは、取りあえず急性障害を避けることに専念し、晩発的影響(発がんリスク)は、これからの医学の進歩に任せようということだ。「一個の原発で、百万年に一度しか起こらない」という専門家の詭弁にだまされた結果、それが3~4個も同時に起き、1000年に一度の大地震・大津波も同時である。津波の被災者に、ロシアンルーレットを突きつけているのである。』

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瀬尾健さんの作成した図2の「厳しい非難基準」が、近藤俊介原子力委員長の作成した「最悪のシナリオ」の半径250kmにほぼ対応している。瀬尾さんがこれを発表したときは注目もされなかったが、彼の先駆的な仕事は今回の事故を体験して始めて明らかになった。

近藤委員長の「最悪のシナリオ」は、さらなる水素爆発や4号機の使用済み核燃料プールの燃料溶融を仮定してのものであるが、3月15日までの初期の段階においても4号機の燃料溶融があり得たわけで、そうならなかったのは福島第一の現場作業員の方々の献身的な作業と、たまたま運が良かったということだけである。これにほんのわずかの差で津波による全電源喪失を免れた東海第二原発が「最悪のシナリオ」になっていたとしたら、と考えると、私の100キロ以内の妊婦・子どもは避難すべきだとの記事もまったく控えめであったとすら思う。

田口ランディ氏が3月19日に「最悪のシナリオという脅しにだまされないために」(同じ内容だが、こちらの記事が読みやすい)と題して東北大学の北村正晴氏らとのメール交換をした内容について書いている。「楽観はできないがチェルノブイリ級の破滅的事象はない見込み」と、原子力委員会委員長がチェルノブイリ級もあり得ると考えていたのと比べると、情報が限られた中での見解とはいえ、あまりにも楽観的すぎた見方だった。

22万人が犠牲になった史上最悪の2004年のスマトラ沖地震(M9.1)では4ヶ月後にM8.6、3年後にM8.5の余震があった。今後数年はM8級の余震が確実に来ると覚悟すべきであり、そのときに崩壊寸前の福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールが倒壊しないと考えるのはよほどの無知か楽観論者であろう。それまでに急いで対策をしなければ、本当に「最悪のシナリオ」になるはずである。

それでも懲りずに、ただお湯を沸かしてタービンを回すために原発を再稼働させようという呑気な連中がいる。今の日本では正気を保つのにも勇気が要るようだ。

良寛のこんな詩を。

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