東大話法と中川恵一


【日 時】2020年9月21日(敬老の日) 13:00~16:00(開場:12:45)
【参加資格】膵臓がん患者とその家族
【参 加 費】無料
【定 員】 100名
【内 容】
第一部 講演:佐藤典宏先生
   「膵臓がんの標準治療と代替医療~外科医の立場から~」
第二部 患者さん同士の交流会。コロナにも膵臓がんにも負けないぞ!

ウェブ会議ツール「Zoom」を使ったWeb交流会となります。
スマホだけで簡単に参加することができます。


詳しくはオフィシャルサイトで

9月20日9:00AMまで参加申込受付中です。
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原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―「東大話法」に関する反響が未だに続いていますね。安冨歩さんの「東大話法」に関する興味深い記事がいくつかありました。

■毎日新聞:特集ワイド「東大話法のトリック 」(リンク切れ)

「東大話法」って何? という人はこちらが手っ取り早いでしょう。『学識豊かで、丁寧で、語り口もスマート……なのに、何かがおかしい。「原子力ムラ」の人たちを取材してきて、そう感じていた。』との書き出しですが、毎日新聞の記者なら自分の新聞の中川恵一氏の連載を読んで、そのようには感じなかったのでしょうか? 中川恵一氏についていはこの後で安冨氏の分析を紹介します。「東大話法のトリック.pdf」

東洋文化研究所のインタビュー
こちらは安冨さんの所属する組織のサイト。安冨さんの研究というか思想の発展過程を要領よくまとめています。最後は親鸞まで登場します。いやいや、結局この未曾有の時代をわたっていくのには仏教思想が必要だということかも。

大企業などの組織は、まさに人間を型にはめるシステムで、ものすごい力で、人々を同じ方向に走らせます。疑問の余地なんかなくなるし、思考できなくなる。そうやって「魂の植民地化」が起きていく現場を目の当たりにして、嫌になって、会社をやめました。

景気の過熱とかパニックとは何なのだろうと考えました。こういったものはすべて「暴走」が引き起こすものだと思っていますが、人間はどういったときに、どのように暴走するのかとか、どうしたら暴走から抜け出せるのかを考えるのに、経済学は役に立たなかったんです。そもそも経済学が扱っているのは均衡なんです。人間の本質ってそんなものじゃないと思うんですが。

「暴走」を扱う方法はないかって考えていろいろ勉強したら、非線形科学に出会いました。例えば、対流というのは、分子の暴走なんですよ。コンピューターの出現によって、そういった現象が研究できるようになって生まれた学問ですね。それを10年ぐらいやったんですが、その結果分かったのは、非線形科学で表現できるのは、人間の暴走プロセスだけで、まともに生きている人はその対象にはならないということ。

マイケル・ポラニーの「創発」という概念があって、簡単に言えば、これまでなかったものが出現するとか、新しいアイデアがわくとか、そういうことです。創発のような、今までなかったものが出てくるプロセスを非線形科学で描けると元来は期待していたんですが、できないことに気づきました。人間を含む生命には記述を受け付けない暗黙の次元があって、それが我々を生かしているし、世界を成り立たせているし、進化とか発展をもたらしていると考えるようになりました。

その記述し得ない範囲のダイナミクスについて記述しようとしたり考えようとしても仕方がないですよね。じゃあ何を考えたらいいかというと、そういう創発性が生じなくなる理由を考えればいいというのが私の提案です。創発を阻害するものとは、具体的には、人間を型にはめるとか、生命や生態系の動きを止めることです。「命」は記述できなくとも、「命を破壊するもの」は記述できる範囲に入っていると私は信じます。それをどうやって記述して、説明して、どうやって取り除いたらいいかという風に、学問を考え直したらいいだろうと。これを私は「合理的な神秘主義」と呼んでいます。

親鸞は、「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとえに親鸞一人がためなりけり」と言います。阿弥陀の本願があり、ブッダの教えがあり、インドや中国の偉いお坊さんの教えがあり、そして法然上人から今私が受け取ったこの教えをつらつら考えてみるに、これは親鸞ただ一人のためにある、なんて言うんです。これはなんとありがたいことかって。それしかないと思うんですよね、知識というのは。オーダーメイドなんですよ。

■現代ビジネス『現役の東大教授(安冨歩氏)が明かす 平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」

同じ東大の中川恵一准教授ももちろん達者な「東大話法」を使います。

 また、東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授は、事故後にインターネット記事でこう書いています。
「100mを超えると直線的にがん死亡リスクは上昇しますが、100mSv以下で、がんが増えるかどうかは過去のデータからはなんとも言えません。それでも、安全のため、100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定しているのが今の考え方です。
仮に、現在の福島市のように、毎時1μSvの場所にずっといたとしても、身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要です」

この文章には、東大話法特有の矛盾が生じています。最初に「100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定」しておきながら、次の段落では「身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要」と、話を逆転させているからです。

なぜかというと、仮定のほうは「今の考え方」、つまり「線形閾値なし仮説」という放射線防護業界の標準的な考え方なので、正面切って批判するのは、彼の「立場」からするとまずいからです。そこで一応、「私は線形閾値なし仮説を認めています」と断ったうえで、今度はクルリと立場を変えて、いきなり11年間は安全という「線形閾値あり仮説」に飛び移っている。これは「自分の信念ではなく、立場に合わせた思考を採用する」東大話法で話をしているからです。
また、このケースは「どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々に話す」という法則にも該当しています。

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中川氏はまた「放射線被ばくを心配しすぎることによるストレスの方が影響が大きい」と、これも「3.都合の悪いことは無視し、都合の良いことだけを返事する。」「5.どんなにいいかげんでつじつまが合わないことでも自信満々で話す」東大話法を毎日新聞に連載しています。これについては福島大学放射線副読本研究会の『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』が的確に反論しています。

■リスクを見つめ,今を大切に生きることが,人生を豊かにする

⇒東京大学医学部附属病院准教授の中川恵一氏が、福島第一原発の事故後に、新聞紙面や著書において、このような見解を述べています。中川氏は、自身の医師としての経験から、「がんになって人生が深まったと語る人が多い」ことを理由に、この見解を導いています。

人が死期を宣告され、残された時間が判明した場合は、このように考える場合もあるでしょう。しかし、その場合は、死期が確定したという意味で、既に「リスク」ではありません。リスクの認知は、その不確かさという特性から、人の心の不安を増大させることはあっても、豊かにすることはまずないのではないでしょうか。少なくとも、今福島で放射能汚染に苦しんでいる人々に対して、「人生が豊かになっただろ」などと言うことは、あってはならないことです。

■年間100mSvの放射線被ばくによるがん死亡者の増加割合は0.5%だから、たいしたことない

⇒0.5%は確率でいうと1000分の5です。福島第一原発の事故後に引き上げられた年間20mSvの被ばくの場合は、8ページで述べた閾値なし線形モデルで考えると1000分の1程度です。この確率の意味を考えましょう。

福島県の人口約200万人で単純に考えれば、1000分の1は2000人に相当します。このような千人規模の命を奪うかもしれない確率を「たいしたことない」と言えるでしょうか。また、今回の大地震と津波は1000年に一度の規模とされています。その1000分の1の確率を想定の外において対策を行わずに事故を招いた人々に、1000分の1を軽視するようにアドバイスされるいわれはないでしょう。

そもそも、確率が高かろうが低かろうが、実際に被ばくしている人に対して「許容せよ」と強要できるような倫理は成立するか、正義に敵っているか、そこから議論する必要があります。

■放射能のことを心配し過ぎる方が、健康によくない

⇒文部科学省が2011年に公表した「放射能を正しく理解するために~教育現場の皆様へ~」などで、同様のことが述べられています。確かに、人間の精神的な状態は身体的な健康状態とも関連しますが、ここでは、「このような見解が、原発事故の加害者と被害者、どちら側に建つことになるか」という点について考えましょう。被害者のことを慮っての発言のように見えますが、本当にそうでしょうか。

このような見解は、放射線の被ばくによる健康影響の原因を、被ばくした人の心の不安、つまり「被害者側」に帰着させます。そこには、「加害者の責任を見えにくくし、被害者へ転嫁する」という、倫理的な問題があります。例えば、次のような状況を考えてみましょう。あなたが傷害事件の被害者になってしまったとします。障害の程度は軽微で、「直ちに健康に影響が出るレベルではない」ものでしたが、再び同じような事件に遭うかもしれないことを不安に思っています。そのとき、友人が、「傷害事件を心配し過ぎる方が健康によくない。日本では、がんなどで死亡する人の方が多いんだから、自分の健康管理の方をしっかりすべきだ」とアドバイスしたとします。あなたはその友人のことをどのように思うでしょうか。

誰が不安の原因を作りだしたのか、誰が責任を負うべきなのか、その最も重要なことを忘れて発言することがあれば、その言葉は被害者をさらに傷つけ、逆に加害者を助けることになりかねません。本当に被害者のことを想うのであれば、行うべき言動は、「あなたが被害者として不安を抱くのは当然のことです。加害者の行為を防ぎ、責任をとらせる対策を出来るだけやろう」と声をかけることではないでしょうか。

この副読本、日本人はみんな読むべきです。(4月末に改訂版が出る予定です。)

最後に安冨歩さんの言葉。

いま、原発の再稼働だとか、ヨルダンに輸出だとかいったおかしなことが、もっともらしい東大話法で唱えられています。これを抑えられなければ、もう原発も東大話法支配も止めようがない。でも逆に、ここで「怖い」、「嫌だ」というような思いをストレートに言葉にできる人が増えれば、逆転は始まると思うのです。実際、その兆しも出始めています。
そういう人たちが政治家に選ばれて、大きな権限を持てるようになれば、国は変わる。いまがその最後のチャンスだと、私は思っています。

この未曾有の災難に機能すべき政治が機能していない。これを何とかしなければ日本の未来はないと気付づいて(その兆しは現れていますが)変えることができたなら、この厄難にも意味があったと言えるでしょう。


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