『がんワクチン治療革命』中村祐輔

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がんワクチン治療革命ペプチドワクチンOCV-C01の第Ⅲ相臨床試験が再開されました。カクテルワクチンの最終段階の試験が始まり、私たち膵臓がん患者にとっては期待が高まる一方です。日刊工業新聞の次の記事によると、

 オンコセラピー・サイエンスは大塚製薬と共同で実施中の複合型がんペプチドワクチンに関する第3相臨床試験で、実施医療機関を全国43施設に拡大する。すい臓がんの患者を対象に21施設で第3相の治験を進めてきた結果、細胞傷害性T細胞(CTL)の働きを活発化させる効果が確認できたため実施計画に沿って治験参加施設を増やす。新規抗原「オンコアンチゲン」を含む複数のがん抗原ペプチドを組み合わせた「カクテルワクチン」の実用化に向けた治験が最終段階に入る。
治験中のペプチドカクテルワクチン「OCV―C01」は、がん細胞に特異的に発現し、がんの増殖に関与するオンコアンチゲンなど複数のがん抗原ペプチドを組み合わせた。ほかの抗原の種類は公表していない。

と、ペプチドワクチンの抗原の種類は一般的には公表していないようです。オンコセラピー・サイエンスの開発パイプラインを見ても、ワクチンの種類が分かりづらいです。2月14日のブログに「ペプチドワクチンのまとめ」として書いてありますが、OTS102(エルパモチド)は延命効果が証明できなかったと発表されています。

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がんペプチドワクチン療法 (第4のがん治療法への期待 第 1集)
』にも、この腫瘍新生血管を標的としたワクチンが2種類あり、第Ⅲ相臨床試験に進んだのはペプチドワクチンとゲムシタビン併用とプラセボ群のと比較試験だと書かれています。しかし生存期間に統計的有意差がなかったのです。またこの本では「現在、これまで行なってきた臨床試験をもとに新規ペプチドワクチンの開発を進めている」としています。新しいペプチドワクチン、数種類のカクテルワクチンなど、膵臓がんを対象としたものだけでもいくつもあるようです。(紛らわしい!)

腫瘍血管新生作用を標的としたワクチンの他に、膵がん細胞自身を標的としたペプチドワクチンでも安全性を確認する第Ⅰ相試験は終わり、「抗がん剤を併用しないペプチドワクチン単独投与にもかかわらず、がんの著名な縮小効果が見られた患者さんも報告されており」結果が期待されると書かれています。

さて、中村祐輔著『がんワクチン治療革命』には、ペプチドワクチンが劇的な効果を示した症例が紹介されています。

  • 2月6日のNHK「あさイチ」の冒頭に紹介された膵臓がんの肝転移が消失した30代の女性
  • 膀胱がんを5回も繰り返し、5回の手術後ペプチドワクチンを投与して再発なく普通の生活している70歳代の女性
  • 3年前に肺がんで余命2ヶ月と宣告された40代の男性。今では趣味の釣りも楽しんでいる。
  • 余命1年半と宣告された肺がんが消失した
  • 大腸がんが肺に転移して5年間元気で車の運転もしている

「あさイチ」で紹介された膵臓がんの女性の場合は、2008年8月の出産後まもなく膵臓がんが見つかり、14時間に及ぶ膵頭十二指腸切除術で膵臓を摘出しています。彼女のがんは「巨細胞がん」といわれる膵臓がんの中でも悪質で転移しやすいがん細胞でした。

術後の治療として、国立がん研究センターでゲムシタビンの投与を受けますが、副作用の白血球の減少により、2回で治療を止めます。そして肝臓に転移した腫瘍は治療前の2倍にまで増大し、がんセンターの医師からは「もう治療方法はありません」と告げられ、絶望のあまり母親と抱き合って泣いたそうです。ペプチドワクチンのことを知って千葉徳州会病院に来たときには、衰弱によって一人では歩けないほどだったといいます。

それがペプチドワクチンを投与して1ヶ月で肝臓の腫瘍は成長を止め、半年後からは徐々に小さくなっていった。これには浅原医師もビックリした。2年後にはCTでは影はすっかり見えなくなっていました。

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残念ながら、彼女以外の30名の患者さんはすべて亡くなっていますが、生存期間は大きく伸びていました。半年以上生存された方は40%、1年以上は3名いたのです。

書籍では「臨床試験で安全性が確認できたほか、結果が良好なので、次のステップに進み、大手製薬会社が、保険適用受けられる薬にするため、このワクチンをもとに更に強い免疫を導くことのできるワクチン治験を実施中です」と書かれています。徳州会新聞によると、彼女の受けたワクチンはKIF20AというペプチドですからOCV-105でしょう。上のパイプラインには載っていませんが、以前には載っていました。今後はこれをもとにOCV-C01として臨床試験を行なっています。

中村祐輔教授自身も、「研究機関を2年で組んだのは、正直申し上げますと、私自身がその当時、この治療でも、3ヶ月の余命を1~2ヶ月しか伸ばすことができないと考えていたからです。」と言っています。予想以上の結果に驚いたようです。

1日も早く一般の患者が使えるようになってほしいものです。でも速くても2~3年先でしょうか。


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