FOLFIRINOX使用に当たっての留意事項

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治癒切除不能膵癌へのFOLFIRINOX療法が承認されました。これで膵癌に使える抗がん剤は4つになります。次はアブラキサン(nab-paclitaxel)ですね。

日本膵臓学会のホームページに「膵癌に対するFOLFIRINOX 療法施行にあたっての留意事項について」と「治癒切除不能な膵癌を適応とする併用化学療法(FOLFIRINOX法)の使用にあたっての留意事項」の二つのPDF文書が掲載されています。二つの文章からは、FOLFIRINOX療法を受けるには相当の覚悟がいると読み取れます。

FOLFIRINOXはゲムシタビンに比べて4.3ヵ月の生存期間中央値の延長がありました。

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一方で相当の副作用があります。この「相当」というのは、これまでの抗がん剤とは比較にならないくらいひどい副作用と思って間違いなさそうです。

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4.3ヵ月の延命で得た時間のほとんどを、地獄を見るようなひどい副作用に耐えて過ごすことにどれほどの患者が納得するのでしょうか。それでも生きている方が良いと思う人も当然いるのでしょうね。何度も書くように、それは患者それぞれの価値観で判断することです。

骨髄抑制による好中球減少が46%の患者に生じています。禁忌事項も多いです。

  1. 骨髄機能抑制のある患者
  2. 感染症を合併している患者
  3. 下痢(水様便)のある患者
  4. 腸管麻療、腸閉塞のある患者
  5. 間質性肺炎又は肺線維症の患者
  6. 多量の腹水、胸水のある患者
  7. 黄痘のある患者

まだありますが、これらの一つでも該当すると投与できません。全身状態の良い(PS.0-1)65歳未満、好中球数2000以上のなどの条件もあります。減量基準もあわせて載っており、60%程度まで減量することを推奨しています。

欧米ではFOLFIRINOX療法がファーストラインとして推奨されているようですが、これは全身状態の良い初期の、使うことのできる時期に使った方が得策だということなのでしょう。先に4年ぶりに改訂された「膵癌診療ガイドライン2012」では、ファーストラインとして、ゲムシタビン単剤療法に加え、ゲムシタビン+エルロチニブ併用療法とS-1単剤療法が推奨されています。「明日への提言」でFOLFIRINOX療法が言及されています。

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大阪府立成人病センター消化器検診科副部長 井岡達也医師の『実地医療から見たガイドライン改訂のポイント』と題したレポートでは、

殺細胞性抗癌剤の組み合わせで、ハザード比は0.57と、極めて高い有効性を示していますが、血液毒性が強く、使いにくい治療レジメンであるともいえます。そのため実地医療においては、強い毒性により際限なき減量を要するために効果が低減して、第Ⅲ相臨床試験で得られたハザード比が再現されないのではないかと懸念しています。

FOLFIRINOX療法の中にフルオロウラシルが入っているため、二次治療でもフッ化ピリミジン系抗癌剤(S-1)を投与することは、エビデンスから言って、あまりお薦めできません。

と説明されていますが、「がん患者のあきらめない診察室」では、

S-1とFOLFIRINOXの5-FUはダブらないのか?これは当サイトが最初にFOLFIRINOXを開始したときに生じた疑問でした。しかしこの点はあまり関係ないようです。また5-FUをゼローダに変えても有効性は変わらないことが当サイトの例からは明らかです。

と書かれています。このあたりは実際に使用経験のある今村貴樹医師の考え方が妥当かもしれません。また「留意事項」では60%までの減量が限界と書かれていますが、今村医師も梅澤医師ともに30%程度までは減量しても効果があると考えているようです。


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