今日の一冊(42)『いのちの苦しみは消える』

スポンサーリンク
LINEで送る
Pocket

いのちの苦しみは消える: 医師で僧侶で末期がんの私

いのちの苦しみは消える: 医師で僧侶で末期がんの私

田中 雅博
990円(04/10 02:23時点)
発売日: 2016/03/16
Amazonの情報を掲載しています

元国立がん研究センターの内科医であり、現在は栃木県益子町・西明寺の住職と、境内にある普門院診療所の医師の二足のわらじを履いている田中正治医師。しかし、2014年10月にステージ4bの膵臓がんが見つかり、肝臓への転移も見つかって、余命数ヶ月と覚悟はしている。

最近多くのマスコミで紹介されたので、ご存じの方も多いかと思う。

田中医師の言いたいことは二つ。

私は常日頃から、がん患者と向き合ってきただけに、がんと分かった時は驚きも悲観もなく、とうとう自分の番が来たかと思いました。もっとも、そう思えるのも私が宗教家として心を整え、『自分に執着しない心境』を得ているからともいえます。

と言う田中医師。しかし我々一般の煩悩多きがん患者では、そう簡単に「死」を受け入れ、命への「執着」を手放すことはできない。

そのためには、医療施設にスピリチュアル・ケアワーカーをおくことが必要だ。
体の痛みを止める医師が必要であるのと同じように、『いのちの苦』の専門家が必要です。それがほとんどいないのは日本の医療の欠陥だと述べています。

人というのは、元気なうちは自己の欲望にとらわれたり、怒ったり、他人を差別したりするものです。しかし死が避けられないとなったときは、そうしたことから離れて、自分のいのちを超えた価値を獲得するチャンスでもあります。いのちより大事にしたいもの。それは信仰を持たない人にとっても、自身の『宗教』だと思うんですよ。それに気づくことができれば、その大事なもののために残りの時間を生きることができるのではないでしょうか。

余命宣告されて「いのちの危機」が訪れたとき、それは「いのちが危ない」と同時に「機」は「チャンス」の意味もある。いのちが危ないときこそ、自分のいのちより大切なものを見つけることができたなら、それはその人にとっての「宗教」であり、ホスピス運動の創始者、シシリー・ソンダース女史が「死にゆく人の尊厳」とは「死んでゆく人が、自分の人生に価値を見出すこと」と定義したように、尊厳を持って死を迎えることができるに違いない。

田中医師はこうした立派な死生観と信仰心を持って死に臨んでいるのだが、それじゃわれわれ凡人はどうすればそうした心境になれるのだろうか。今から般若心経を読んでも間に合わない。あたりまえだが、この本にはそうした近道については書かれていない。

私としては、ブログのこちらの記事『死ぬのが怖いのはなぜか?』でも書いたけど、前野隆司氏の『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』の方がお勧めだと思います。

「死ぬのが怖い」とはどういうことか

「死ぬのが怖い」とはどういうことか

前野 隆司
1,650円(04/09 09:49時点)
発売日: 2013/01/09
Amazonの情報を掲載しています
 
 

がんと闘う多くの仲間がいます。

にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

このブログの関連記事

  • 今日の一冊(45)『輪廻する宇宙』今日の一冊(45)『輪廻する宇宙』   ブルーバックスと輪廻。なんとも変な取り合わせです。仏教の六道輪廻の話にはじまり、ダライ・ラマの転生へと進むんです。 オチをばらしてしまえば、最先端の宇 […]
  • 医師で僧侶で末期膵臓がんの田中さん医師で僧侶で末期膵臓がんの田中さん 3月の誕生日を迎えることは難しいと言われていた、医師で僧侶で末期膵臓がんの田中雅博さん。まだ死にそうにないから、「少し伸びたいのちの使い方」を語っています。 […]
  • 今日の一冊(41)『がんとともに、自分らしく生きる』 ブログを書いている膵臓がんの方にも、強烈な副作用に耐えて抗がん剤を続けている方もいる。自分の価値観に従って、抗がん剤はしないという選択をした方もいる。抗がん剤は続けるけど、副 […]
  • 今日の一冊(43)『娘はまだ6歳、妻が乳がんになった』がん患者の障害年金 プレジデントに連載されている『妻ががんになったら』を書籍化した本ですね。<連載一覧> 乳がん検診から1年半経ってからのことです。そのときには再検査の結果、近所の病院の医者か […]
  • 気になる本『奇跡のシェフ』気になる本『奇跡のシェフ』 上毛新聞で紹介されていたこの本、気になりますね。クラウドファンディング「ハレブタイ」で目標の30万円を大きく上回る138万円を集めて出版にこぎ着けています。自費出版でなく、庶民の […]
  • CA19-9保険制限回数越えても「選定療養」で可能にCA19-9保険制限回数越えても「選定療養」で可能に 膵臓がんの治療効果などを判定する腫瘍マーカーCA19-9について、「個室部屋」などと同じ「選定療養」として扱うことが、13日に開かれた中央社会保険医療協議会・総会で了承されました […]
  • 患者目線で膵臓がんに役立つブログ患者目線で膵臓がんに役立つブログ このブログも膵臓がん患者に役立つことを目指して書いていますが、最近すてきなブログを見つけました。 お母さんプロジェクト『膵臓がんでも幸せに楽しく生きる』 2015年7月に膵臓 […]
  • 母の日と大型連休最終日のカメラ散歩母の日と大型連休最終日のカメラ散歩   今日は母の日であり、親父の命日でもある。駅ビルの花屋もカーネーションを買う人が沢山いました。 大型連休も最終日、少し歩こうと、カメラを担いでぶら […]
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です