運動でがん細胞が消える


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適度な運動による健康維持効果には遺伝子の働きの変化が関わっていることが、信大大学院医学系研究科(松本市)の谷口俊一郎教授(61)と橋本繁成助教(42)らの研究で明らかになった。糖尿病やがんなどの原因にもなる臓器の炎症を促進する遺伝子の働きが運動後に抑制されることを確認。生命活動を担う情報が記録されている遺伝子の働きは人の意思で変えられることを実証した形で、「遺伝子イコール運命」といった固定観念をあらためて突き崩す成果と言えそうだ。

これは信濃毎日新聞に載った記事ですが、運動によって遺伝子の働き方を変えることができるというすばらしい記事です。

運動はエピジェネティックにがんに働く

「がんは遺伝子の病気」と言われ、いったんがん細胞ができてしまえば、あとは遺伝子異常を繰り返して増大していく。こうした多段階発がん説に対して、そうではないんだ。遺伝子の発現はがん細胞周辺の環境を変えることによって変化し、がん細胞を縮小させることも可能なのだという「エピジェネティクス理論」があります。

遺伝子は生命の設計図ではあっても、どの遺伝子がいつ、どの程度発現(働く)するかは環境の影響を強く受けて決定される、というのが、最近注目され研究が進んでいるエピジェネティクスの考え方です。

運動によってエピジェネティックにがん細胞に影響を与えることができます。

がん細胞は、体が有害なストレスや刺激を受けた時に生じる”炎症”を栄養として増大するのですが、炎症を抑える遺伝子に「メチル基」がつくと炎症が抑えられ、炎症を促進する遺伝子は「メチル基」が剥がれて活発になっています。

同様の研究は、エピジェネティクスの研究で有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所が発表しています。

スウェーデン・カロリンスカ 大学のRomain Barres氏らは,運動後数時間以内に遺伝子のプロモーター領域(転写因子が結合する遺伝子の上流領域)のDNAメチル化が低下し,遺伝子が活性化される可能性を明らかにし,Cell Metab2012; 15: 405-411)に発表した。分化した細胞では安定していると思われていたゲノムのメチル化が,運動によって意外にもダイナミックな制御を受けることが明らかとなった。

まだまだメカニズム的には未解明な点も多いが、少なくとも運動という環境刺激によってエネルギー代謝関 連遺伝子の特異的脱メチル化というエピジェネティックな変化が直接的に誘導され、それが当該遺伝子の活性化と相関し、健康的な体質維持につながるという図 式は確かのようだ。

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インターバル速歩で若返り

運動がASC遺伝子のメチル化と関係していて、運動すればメチル化率が高くなり、若返り効果があると紹介されている。またASC遺伝子は細胞のアポトーシス(自殺)に関係している遺伝子で、がん化とも関係している。

ゆっくり歩きと早歩きを交互に繰り返す運動法「インターバル速歩」の効果と遺伝子の関係を調べると、インターバル速歩を半年間行った中高年グループの血液を採取して遺伝子の変化を見たところ、

炎症を起こす原因になるタンパク質「ASC」の遺伝子を調べたところ、インターバル速歩を始める前はメチル化の割合が加齢とともに減り、働きが強まって炎症を起こしやすい状態だった。だが、速歩を始めて半年後にはメチル化の割合が高くなり、健康な若者のレベルに近づいた。

ランニングなどの運動により、ナチュラルキラー細胞が活発化し、がん細胞などの腫瘍の増殖を抑制できる可能性が、マウスによる実験で示されています。
毎晩4km~7km走ったマウスの免疫系統が活発化し、新しい腫瘍の増殖を予防したほか、既存の腫瘍の成長を最大で60%抑制できることがわかったとのことです。

米国対がん協会のガイドライン

2012年、米国対がん協会の最新ガイドラインが発表され、その翻訳『「がん」になってからの食事と運動―米国対がん協会の最新ガイドライン』が出版されています。次のように書かれています。

健康的な体重を維持しましょう。

  • もし過体重や肥満の場合は、高カロリーの食物や飲料を制限し、減量するための運動量を増やしましょう。

定期的に運動しましょう。

  • 運動不足を避け、診断後もなるべく早く通常の日常生活に戻るようにしましょう。
  • 1週間に150分以上運動することを目標にしましょう。
  • 1週間のうち2日以上は筋力トレーニングを運動に含めましょう。

世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)によるがん予防の勧告(14か条の勧告)にも、

第3条 運動は1日1時間の早歩きと、1週間に合計1時間の強度の運動を行ない、体を動かす習慣を維持する。

と書かれています。

ともかく、がん患者は”歩け 歩け”ですね。

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