膵臓がんにもキイトルーダが使えるかも

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昨年末、大晦日の記事『緩和ケア「想定外のことばかり」』にこう書きました。

来年は膵臓がんに、免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が使えるようになり、光免疫療法の治験が始まる、そのような初夢を見たいと思います。

もしかすると、初夢ではなく現実になるかもしれません。

癌腫を超えた承認申請

MSD(メルク・アンド・カンパニー)株式会社が3月30日、「抗PD-1抗体 /抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」 局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)癌に対する承認を申請」と発表しています。

免疫チェックポイント阻害薬の一種PD-1阻害剤であるキイトルーダ(プムブロリズマブ)は、現在、国内では悪性黒肉腫と非小細胞肺がんに対して承認されています。

本日、局所進行性又は転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)癌 に対する効能・効果について、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」の製造販売承認事項一部変更承認申請を行いました。

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)とは、傷ついた遺伝子の修復機能異常を示すバイオマーカーです。細胞は、細胞分裂にともなう遺伝情報の複製においてDNAの複製ミスが発生した場合、修復機構が働いてそのミスを修復しています。この修復機構の機能低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼びます。

MSI-Highを示す腫瘍は、大腸がん、胃がんや膵臓がんなどの消化器系のがん、子宮内膜がんで最もよくみられます。また、頻度は低いものの乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がん等でもみられます。転移性大腸がんでは、患者さんの約3~5%にMSI-Highを示す腫瘍がみられます。

癌腫ではなく、遺伝子の異常の有無で承認を申請したのです。

がんの種類を超えて、遺伝子異常のバイオマーカーによっての申請は画期的です。今後もこうした種類の申請が増加するであろうと、中村祐輔先生の書いておられます。

2015年、91歳のジミー・カーター元米国大統領はメラノーマ(黒色腫)と診断され肝臓と脳に転移があると発表しました。そして2014年9月に承認されたばかりキイトルーダの治療により、肝臓だけではなく脳の転移も消滅したと発表したのは有名な話です。

米国では、膵臓がんに対して迅速承認されている

また、米国FDAは昨年、進行膵臓がん患者に対してキイトルーダを迅速承認しているのです。キイトルーダで治療されたMSI-HまたはMMR欠損陽性の進行膵臓がん患者は、最小限の副作用で劇的な腫瘍縮小効果があり、非常に高い効果をみせた、と報告されています。ここにもドラッグ・ラグが存在しています。

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を持つ患者は、膵臓がん患者の5~10%ほどと言われています。(東北大学の研究、米国人では2%)

マイクロサテライト不安定性の検査は健康保険が適用できます。診療点数が2100点(21,000円)ですから、患者の3割負担は6,300円です。

キイトルーダの薬価は、半額となったオプジーボと同じですから、高額には違いありません。100mgが41万541円で、1回200mgを3週間間隔で投与するので、1日の薬価は約4万円です。年間では1400万円になります。患者は高額療養費制度があるので負担は抑えられますが、保険財政には負担が重くのしかかります。

MSDはキイトルーダの拡大治験に取り組むべき

厚生労働省には迅速に審査承認をしていただくとともに、MSDには、証人を待つことなく、キイトルーダを対象とした「人道的見地からの拡大治験」に取り組んでほしいものです。現状では拡大治験は、仕組みは作ったが魂がない状態です。


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