あなたが代替医療を考えているのなら、この一冊を

統合医療のバイブル本

がん患者の8割が、何らかの代替医療を取り入れていると言われています。書店に行けば、その類の本が真っ先に目にはいってきます。中には怪しげなものもたくさんあります。

がんを告知されて、頭の中も真っ白、気は焦るばかりの患者に、冷静に考えろと言ってもそれは難しいのかもしれません。

そんなとき、お薦めなのがこの『がんに効く生活』です。補完代替医療、統合医療のバイブル本と言っても良いでしょう。

がんに効く生活 克服した医師の自分でできる「統合医療」

がんに効く生活 克服した医師の自分でできる「統合医療」

ダヴィド・S. シュレベール
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シュレベールとは

シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

内容紹介(Amazon)
31歳のとき脳腫瘍が発見された精神科医の著者。自分の命の期限を知ってしまった著者は、「生きる」ことに望みをかける。摘出手術、化学療法を受けながら、がんのメカニズムを研究し、食事・心のケア・運動による「がん克服」メニューを導き出す。自らその方法を実践した著者は、がん発見から15年、いまも現役医師として活躍している。
本書では、がんのメカニズムを解きながら、がんを育てない、たとえがんになっても成長させない、がん治療に効果的な体質にする生活術を具体的に紹介していく。さらに、脳腫瘍により、著者の人生も人生観も大きく変っていった。そのエッセイも随所に盛り込まれている。
がんと闘っている人、治癒してもなかなか不安が消えない人、身近な人ががんと告知された人、そして健康を維持したい人への、がん体験記と克服法の両方を併せ持つ新しい「抗がん(anticancer)」本。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

久留米大学 がんペプチドワクチン事務局が推薦する本

久留米大学のがんペプチドワクチン事務局では、「よくいただくご質問」「6.食餌療法にも限界があります」で、この本を取りあげて推薦しています。

一般的には、食事療法にも限界がありますし、西洋医学的な治療を合わせて実践しても有効性が得られない場合が殆どです。 しかし、「がんに効く生活」に記載されている内容をすべてもしくは一部分実践した  場合には長期生存が得られる可能性は高まるように思われます。

西洋医学によって開発された医療技術を活用するとともに、適切な食事療法、運動療法、 及び精神の平穏な生活をおくることで、炎症や血管新生を抑え、がんを攻撃する免疫細胞 を活性化させ、がん細胞の増殖する環境をなくすもしくは抑えることができる。

① 今日、がんを治すことができる代替治療法はひとつもない。

外科手術、化学療法、放射線治療、免疫療法といった西洋医学によって開発された技術に頼らずに、がんを治療することは考えられない。

② 統計学でのがん患者余命予測には限界があり、がん患者の余命は予測困難である。

同一のがんでも必ず長期生存者が存在する。これを「グールド博士は、自らも罹患した中皮腫の余命グラフを研究して、長期生存者を長い尻尾群と呼び、自分もその一人になった」

③ がんと闘うための4カ条

  1. 発がん物質のデトックス(解毒)*注1)
  2. がんに対抗できる食生活 *注2)
  3. 適度な運動
  4. 精神的な平穏

*注1)禁煙・禁酒・精製砂糖、精白小麦粉の過剰摂取をしない・動物性脂肪(肉、乳製品、卵)・マーガリンの過剰摂取をしない・環境汚染物質を避ける。

*注2)以下の食べ物のうち多種類をかつ毎日摂取する:緑茶・ターメリック(ウコン)とカレー・ショウガ・アブラナ科の野菜(キャベツ類)・ホウレンソウ類・ニンニクや ネギ類・カロチノイドを豊富に含む野菜(人参やカボチ
ャ、サツマイモ、トマトなど)や果物(柿、スカッシュ、杏など)・大豆類・キノコ類・ハーブ類・海藻類・オメガ3脂肪酸を含む食べ物(サケ、イワシ類)・亜麻仁・セレンを含む食べ物(有機玄米、魚、甲殻類)・ヨーグルト・ベリー類・柑橘類・ザクロ果汁等。

④ がん細胞の増殖を抑える3カ条

  1. がん細胞攻撃の免疫システムを賦活化させること
  2. がん細胞が成長し、新しい領域を侵略するのに必要な炎症を作りださないこと*注3)
  3. がんの増殖に必要不可欠な血管の新生とそこからの栄養を供給させないこと*注4)

*注3)炎症とがんの関係: 身体の組織が傷つくと修復するためにまず血管を広げて免疫担当細胞を呼び込み、異物( 細菌や死んだ細胞)を排除し、その後に修復を開始させる。新たに栄養源を運ぶための毛 細血管を作らせる。 このために赤く、腫れ、熱く、痛いとう反応(炎症反応)がおこる。傷ついた組織が修復されれば炎症は消える。しかし、がん細胞は炎症を起こさせる物質を作ったり作らせたりし ていつも炎症反応を持続させているので「癒えない傷」と言われている。従って炎症を起こさないこと、今ある炎症を抑えることががん治療に有用である。

*注4)がんの栄養源を断つには: がんは血管から栄養を得るため炎症を引き起こし、新しい毛細血管を作らせる(血管新生)ので、その毛細血管を枯らすことで栄養源を断つことができる。 お薬としてはアバスチンなどの血管新生抑制薬があり、自然界では緑茶、キノコ、ハーブ 、緑色野菜などの食べ物が知られている。

また炎症を抑えるお薬としてはステロイドホルモンやロキソニンなど多数販売されているし、自然界では 注2)にあげた野菜や果物に炎症を抑える作用があることが知られている 。

炎症と発がん(代表例

  • 胃がん:ピロリ菌感染
  • 肺がん:タバコでの炎症
  • 喉頭・咽頭がん:タバコでの炎症
  • 食道がん:タバコ、食道炎
  • 中皮種:アスベスト炎症
  • 肝臓がん:肝炎ウイルス感染
  • 大腸がん:大腸の炎症
  • 子宮頚がん:パピローマウイルス感染
  • 膀胱がん:タバコ、寄生虫感染
  • 血液がん:白血病ウイルス感染
  • 上顎洞がん:EBウイルス感染
  • 皮膚がん:紫外線での炎症
  • タバコには数十種類の発がん物質が含まれるので炎症のほかに直接発がんもおこす。紫外線やウイルスにも発がん作用あり。

シュレベールの名言・本のキーワード

  • 私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である。
  • がんを治すことができる代替治療法はひとつもない。しかし、私たちの体がもっているがんに対する自然の防衛力を無視するのもまた、ナンセンスである。
  • 統計は情報に過ぎず、けっして宣告ではない。
  • 病気に対する正しい知識を持ち、体と心をケアし、健康増進に必要な情報を与えられている人々は、がんと闘うため、体の重要な機能を作用させることができる。
  • 大事なものの追求を先延ばしにしてしまっては、結局、大事なものを一度もきちんと手にすることがないまま、人生は指のあいだをすり抜けていってしまう。
  • 免疫細胞は、客観的に見て、より”生きる価値”があるように見える人生を送っている人間の体内では、それだけ活発に動くかのように見える。
  • 通常の医療を受けながら、それと並行して合理的になし得る多くのことが存在する。それらは症状の改善、治療の効果、副作用の緩和、寛解期間の延長、そして再発リスクの減少に貢献しているのである。
  • 炎症は、治癒のための新しい組織の形成を支えていると見せかけて、がんの成長を促す役回りをしていることもある。
  • 副作用の少ない自然の解決策があれば、私たちは体のなかの炎症を抑えることができる。自然の解決策とは、炎症を促進する毒素を生活環境から排除すること、がんに対抗できる食物を摂取すること、感情のバランスに配慮すること、運動不足を解消することである。

役立つ内容がいっぱいです。


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あなたが代替医療を考えているのなら、この一冊を” に対して2件のコメントがあります。

  1. k&y より:

    この本の紹介で彼が食事療法で肉断ちをしていたのは余命を縮めたのではないかという長年の後悔が少しほぐれた気がします。
    彼はこの本に書かれていることのほとんどを行なっていました。彼の選択は間違っていなかったのかもしれません。
    いい本のご紹介ありがとうございます。

    1. キノシタ より:

      k&yサン。コメントありがとうございます。
      シュレベールが亡くなってから出版された『さよならは何度でも』では、食事療法に関して多くのページを費やしたが、もっと心のありようとがんの関係を書くべきだったと記しています。
      食事はすべての基本ですが、がんに関しては、それよりも「心のありよう」が影響するのではないかと、私の実感でもあります。
      ブログ、拝見しておりますよ。

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