免疫細胞療法について雑誌社の取材を受けました。

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先週は、二つの雑誌社から、立て続けに取材を受けました。

それぞれ約3時間じっくりと取材を受けましたが、取材の対象はがん免疫細胞療法についてでした。

本庶佑さんが、ノーベル医学生理学賞を受賞してから、免疫療法についてがん患者の関心が集まっています。これ幸いと、がん患者の知識不足に乗じるかのように、科学的根拠のない免疫細胞療法クリニックが、商売熱心にも色々と宣伝活動を行っています。

これらの雑誌社は、こうした問題と現状を世間に知らせたいと、長期間にわたって取材を続けているようです。単発的に報道するのではなく、じっくりと腰を据えて取材をしている様子が伝わってきました。

厚生労働省はもとより、日本医師会、がん治療に関わる著名な医師、たくさんある患者会、もちろん免疫細胞療法クリニックが主催する講演会にも参加をして、綿密な取材を続けているようです。

その一環として私のところに取材に来たわけです。

がんの王様と言われる膵臓癌ですから、がん患者の矛盾点が象徴的に表れているのではないか。そうした問題意識を持っているようでした。

取材を受ける中で、たくさんの面白い話題を知ることができました。

免疫細胞療法

怪しげな免疫細胞療法クリニックの被害者、老後資金を全て免疫細胞につぎ込んでしまったというような被害者は結構いるのではないか、と思いますがなかなか表面には出てきません。

ひとつには騙されたとは思いたくない、騙されたかなと思ってもなかなか外に向かっては言い出しにくいのです。「騙されるほうが悪いんだ」というような避難をする人もいますからね。

それで、結局は泣き寝入りになっている。しかし数は少ないですが裁判を起こした患者もいます。裁判となるとクリニックの側は、お金を出して和解に持ち込もうとします。彼らにしてみれば、延々と裁判を続けて商売に悪影響を与えるよりは、数百万、一千万程度ならさっさと金で解決して、次のカモを探せばいいと考えるのです。

これは逆に言えば、免疫細胞療法をやって効果がなかった患者さんは、無駄に使ったその費用を簡単に回収できるということです。

がんが治るということでその治療法を勧めたのであれば、裁判の中で、消費者契約法違反(治療効果に関する不実告知、不利益事実の不告知)による契約取消し、治療効果や治療を受けた場合の予後についての説明義務違反などを主張することができます。

「医者は人の不幸によってなり立つ職業」であるのに、患者の無知と弱みににつけこんで、さらに不幸にしようとする悪徳クリニックには怒りを覚えます。

がん撲滅サミット

もう一つ話題になったのは、記者にもまだ確証はなさそうでしたが、がん撲滅サミットと大手の免疫細胞療法クリニックの関係です。詳しくは話してくれませんでしたが、両者には裏に何らかの関係があるのではとの疑いを持っているように見えました。

私自身は半信半疑ですが、このがん治療の現場では何があっても驚きません。

がん撲滅サミットには内閣総理大臣安倍晋三の挨拶が紹介されたり、その他のたくさんの政財界の方々の名前がています。政府との関係の深そうな年に一回限りのお祭りのようなイベントです。

現政権は自民党と公明党の連立政権であり、公明党の元厚生労働大臣坂口力氏は「免疫の力でがんを治す会」の顧問であり、広告塔としての役割を果たしています。

厚生労働省や「がん情報サービス」で免疫細胞療法クリニックに対して思い切った批判ができないのは、こうした政治的な枠組みと関係しているのかもしれません。

ネオアンチゲン

もう一つはネオアンチゲンに関することです。

ネオアンチゲンとは中村祐輔先生が、次の治療法として熱心に推し進めているものですが、巷の免疫細胞療法クリニックと連携して治験を進めようとしています。

中村祐輔先生の評価について聞かれたのですが、私からは「それは難しいですね」としか言えませんでした。しかし、オンコセラピー・サイエンスが株式を上場した際に、中村先生が持っていた一部の株を売却する必要に迫られ、約5億円の収入があったのですが、中村先生はそのほとんどを「あしなが教育基金」に寄付しています。ですからお金が欲しくて活動しているわけではないでしょう、と言っておきました。

クリニックが行っているネオアンチゲンの臨床試験ですが、患者の負担でやるというのはどうなんでしょうかね。もちろん臨床試験に患者の負担を求めてはいけないという規則があるわけではありません。


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『「ネオアンチゲン樹状細胞ワクチン」治療を開始』といって、その下に「樹状細胞ワクチン療法の安全性をみる試験」を通じて、オーダーメイドがんワクチンを提供していきます。』と書かれていたりするので、臨床試験なのか、治療を提供しているのかもあいまいです。

中村先生もご高齢になったから結果を焦っているのではないでしょうか。一部の医者の評価では、ネオアンチゲンの臨床試験は第一相の安全性確認試験なんですが、第一相試験を何度も繰り返した挙句、結局は第三相試験まではいかないんではないか、そのような推測と評価もあるそうです。

結果が出るまでの長期間、新しい免疫療法について試験研究をやっているという広告効果を狙うことができます。実際に、これらのクリニックのサイトには、でかでかとネオアンチゲン療法の広告と臨床試験をやっているんだよと謳う大きなフォントサイズのキャッチコピーが目に着きます。

あの、ひげのお医者さんとこも「ネオアンチゲン療法」を提供していますよ。

普通、臨床試験をやっているからといって、これみよがしに宣伝するような医療機関はありませんよ。真面目な医療機関なら控えめです。なぜなら臨床試験をやったからといって、必ずしも良い結果が出るとは限らないからです。

とまぁ、色々な話題にあっという間に時間が経ってしまいましたが、じっくりと腰を据えて取材をしていましたから、いずれ面白い記事が出てくるのではないかと期待をしています。

記事へのおかしな反応

この記事への摩訶不思議な反応がありました。

ハマリョウ氏がブログに書いていますが、事実誤認が多々あるので指摘しておきます。

「私が抗がん剤の副作用に苦しんでいる間に」との書き出しですが、この記事はハマリョウ氏を想定したのでもなく、彼とは無関係の記事です。彼の副作用の期間に記事を投稿することと何の関係があるのでしょうか。文脈がつながりません。

想像するに、ご自身のやっている治療法に関する批判をすれば、すべて自分への攻撃と受け取っているようですが、それは被害妄想です。

私の仕事のスケジュールに会わせて、その合間に投稿しているのであって、彼の治療スケジュールなどは念頭に置いていないし、関係のない方のスケジュールを考慮する必要もありません。

「矛盾点を指摘する」と、次のように書かれていますが、

ご自身はマスコミには顔を出さないとおっしゃっておられましたのに2社同時に受けられたそうです。

これも明らかに彼の記憶違いですね。私がNHKからの取材申込みを断ったことを指しているのでしょうが、私が断った理由は、「テレビの取材は一切受けない。なぜなら、長時間拘束されるのに放映されるのは極わずか。また雑誌や新聞と違って、放映前にこちらがチェックすることができない」からでした。彼にもそう伝えたはずです。ご自身の過去メールを検索すればただちに確認できることです。それを「マスコミ」全体にすり替えています。

次の事実からも、彼の勘違いは明らかです。なぜなら、2016年12月に、毎日新聞「医療プレミア」から取材を受け、高村亮氏とともに写真入りで記事になっているのです。ハマリョウ氏のブログでも紹介されています。

「患者ジャーナリスト」と言うのなら、せめてご自身のブログくらいはチェックしてから書くべきでしょう

「名誉回復のために」って言うが

”広告塔”とは、辞書によれば、「企業や団体の宣伝の役割を担う著名人」とのことです。「党の広告塔となっている」などの文言が新聞記事に出ることもあるように、一概に悪い意味で使われているのではないです。坂口力氏は著名人であり、クリニックの宣伝の役割を果たしているのはまちがいないでしょう。別段、坂口氏の名誉を損なっているとは考えておりません。

ハマリョウ氏がSTクリニックの広告塔かどうかは、私は知りません。そう断定したこともありません。署名人とは言えないでしょうから、”広告塔”との表現は適当ではないと考えます。

中村祐輔先生自分が、ブログで「私も高齢だから、残された時間が少ない」という主旨のことを書かれています。だから日本に帰って患者のために働くんだと。中村先生は、金銭的にも潔癖な方であり、尊敬をしています。それもブログに書いたとおりです。ただ、現状ではネオアンチゲン療法が、いかさまクリニックの宣伝に利用されているのではないかと危惧し、それを書いたに過ぎません。

押川医師と私とは、多くの点で考えの違いがあります。低用量抗がん剤治療に対する考え方などは、その最たるものです。同時に多くの点で考えが一致します。

患者のためという一致点があれば、意見の違いはさて置いて、一致できる点で協力する。これが私の考えです。膵臓がんの集いの運営を批判するのでない限り、「患者の役にたつのなら、なんでも、誰でも利用させてもらう」つもりです。

情報は提供するが、肯定も否定もしない。勧めたりはしないで患者さんの判断に任せる。代替療法、丸山ワクチンに対してもそうした立場です。

トイレの落書きとは論争しない

のが私の考えなので、事実誤認の指摘のみにしておきます。


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