ソフトウエアのバグで致死量の被ばく

ソフトウェアにバグはつきもの
新型コロナウイルスの接触アプリCOCOAが、ソフトウェアのバグによって機能していなかったことが明らかになりました。修正が完了するのが2月中旬だと言われています。
政府御用達のソフトウェア会社が開発し、2次下請け、3次下請けに丸投げするようなアプリなんかは信用できませんから、私はインストールもしておりません。
コンピューターのソフトウェアにバグはつきもので、入念にチェックをしてもバグをゼロにすることは不可能です。致命的なエラーが発生したらできるだけ早くその原因を突き止めて対策をする、そんなことしかできません。
しかしことが人の生命に関わるような放射線治療機器となると深刻です。
CT にしても先進医療として行われている様々な放射線機器、強度変調放射線治療(IMRT)、サイバーナイフ、ガンマナイフ、陽子線治療、重粒子線治療にMRIdianにしても、全てコンピューターのプログラムで制御されています。
セラック25の放射線被ばく事故

カナダ原子力公(AECL)によって製造された「Therac-25(セラック25)」は電子線とX線を生成して患者に照射し、体の表面および深部にある腫瘍を治療するための放射線療法機器の一つです。この機器が1985年から1987年にかけて6件もの被ばく事故を引き起こした経緯について、海外ブログのThe Daily WTFが解説しています。
セラック25の印象的な事件の一つは1986年3月21日、テキサス州のイーストテキサスがんセンター(ETCC)で発生しました。この日放射線技師は患者を治療室に連れて行き、いつも通りに治療を行おうとしていました。技師はベッドの上に患者を寝かせたあと、ターンテーブルのような形状になっているセラック25の放射線照射部を回して「光学レーザーモード」に設定し、レーザーが背中側の小さな範囲にあたるよう調整を行いました。
技師は放射線がまだ照射されていなかったので、次に行うべきは一時停止の解除だろうと判断して該当の「P」キーを入力しました。患者の叫び声が聞こえてきたのはその時です。
患者はこの治療に関して何の痛みも感じないものだと認識していましたが、この時は背中にホットコーヒーが注がれているような強烈な灼熱(しゃくねつ)感を覚えたといいます。技師が照射を一時停止するまで患者は助けを求めて叫び続けましたが、その間中、電気ショックのような痛みを受け続けたとのこと。
実際には1万6000ラド~2万5000ラドの線量を照射されていたとのこと。患者は元気そうにしていたものの、既に致死量の放射線を浴びていたことになります。
GIGAZINE
悲鳴を上げるような放射線を浴びたということは、致死量をはるかに超えているます。
腫瘍の根治を目指す放射線の照射線量は70グレイほどです。放射線の場合は 1グレイ=100ラドなので、160~250グレイを一度に照射されたことになります。これではがん細胞だけでなく、患者の中枢神経がやられてしまいます。
現在は安全装置もあり、そのようなことは起きないとは思いますが、ソフトウェアにバグはつきものであり、操作をする人間もミスを犯します。