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問われる真偽 ホメオパシー療法

本日の朝日新聞「be report」欄に「問われる真偽 ホメオパシー療法」という記事が載った。記事によると沢尻エリカとか落合恵子などの有名人がファッション誌や育児誌でホメオパシーを推奨しているという。日本でも相当この似非療法が広まっている印象だ。

記事では似非科学を批判している大阪大学の菊地誠教授が、「分子が一個も残らないほど希釈するのだから、レメディは単なる砂糖粒」であり、「最大の問題は、現代医学を否定し、患者を病院から遠ざける点にある」と指摘している。梅澤医師のコメントも紹介されている。「自分が診た患者の中にも、ホメオパシーに頼った結果、手遅れになった患者がいる」"好転反応"という用語がくせ者。病気が進展して症状が悪化しても、ホメオパシーではそれは自己治癒力が向上した証の「好転反応」であると説明されるからである。症状が悪化しているのに、患者はレメディの効果が現われてきたと説き伏せられるのである。

前回のブログでも書いた山口での乳児死亡事故で損害賠償請求訴訟が提訴された件にも触れている。この助産師が所属するホメオパシーの協会はjpHMA(日本ホメオパシー医学協会)であるが、会長の由井寅子氏もインタビューに応じている。応じているのだが、記事全体はホメオパシーに批判的な論調で書かれているため、トラ子先生は早速噛みついている。

7月31日付の朝日新聞土曜版「 Be」で由井会長へのインタビューを含め「ホメオパシー」が特集され紹介されました。

最近、政府の統合医療推進の方針の中で、ホメオパシーも16の代替療法の検討候補に入るなど、ようやく日本でもホメオパシーの認識が高まってきました。
先日、国内のホメオパシー団体を代表して、由井会長が朝日新聞の1時間にわたるインタビューを受け、自然治癒力を触発するホメオパシー療法の説明、「症状はありがたい」というホメオパシー療法に取り組む上での基本的な考えかたや国際的な普及状況やなどを話されました。

なお、7月31日付の朝日新聞では「英国会は否定 No」とあたかも英国の健康保険制度からホメオパシーが外されることが決まったような誤解を与える記載となっておりますが、7月27日付で英国政府は、ホメオパシーの英国健康保険システム(NHS)の適用継続を発表。英国下院の科学技術委員会の勧告を否定しています。
また、信頼性に多くの科学者が異議を唱えた、2005年に科学誌「ランセット」に掲載された「ホメオパシーは効果がない」と結論づけた1論文のみを根拠に、ホメオパシーの有効性が否定されたような記事となっておりますが、ホメオパシーの有効性を肯定する数多くの研究結果や論文もありますので、詳しくはJPHMAホームページをご覧ください。

確かに英国保健省はNHSの適用継続を決めたが、それはホメオパシーの有効性を認めたからではなく、EU全体に広く用いられているホメオパシーに通常医薬品と同じ規制を持ち込めば、レメディは市場から姿を消すことになる、これは消費者の選択の幅を狭めるものである、と苦しい言い訳をしている。詳しい内容は「忘却からの帰還」に紹介されている。

トラ子先生は「薄めるときによく振ることで、毒のパターンが水に記憶される」ので、効果があるのだと例のごとく「水の記憶」を持ち出してくる。ホメオパシーがブラシーボ効果以上の効果はないことについては『代替医療のトリック』に詳しいからここでは書かないが、砂糖粒の原料であるサトウキビが、キューバの農場で風に揺れていたときの記憶は残っていないのだろうか?どうしてレメディの毒の記憶だけが砂糖粒に残るのか、私には説明されても理解できない。

帯津良一先生もレメディを作るのに一所懸命で振っていると、五木寛之氏との対談『健康問答』で言っていた。その姿を想像するとゾッとしてくる。

笑える動画がある。BBCのコメディ「ホメオパシー救急病棟」だ。最後にホメオパシーラガーを注文したとき、ウエイトレスが水に一滴のビールを入れるのだが、これではビールが多すぎる。よく振ってもっと希釈すれば、ビールの記憶が水に残って、泥酔するほどの効果があるに違いない!!と思うのだが。

朝日新聞とも今日でお別れ。一般の記者はときどきよい記事を書くのだが、論説主幹らにロクなのがいない。消費税増税に記者生命をかけている星浩。秋山耿太郎社長の改革路線にうまく乗り、30年間空席だった本社編集局長と論説主幹の上に立つ主筆のポストに起用された舟橋洋一、この人物は普天間移設容認を執拗に書いている。


続報

その後朝日新聞でホメオパシー関連の記事がいくつか続いています。

上記記事を執筆した長野剛記者のブログ「こちらアピタルです。」

ブログに多くの反響をいただきましたので、5日昼、続編を掲載しました。

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