サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

がんワクチン 規制当局との攻防

本日3件目の記事です。

市民のためのがん治療の会に、東京大学教授・医科学研究所附属病院長の今井浩三氏の短いコメントが載っています。

がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究進捗報告会に出席して』のなかで今井氏が、

会の報告で、特に興味深かったのは、食道がんの手術後にワクチンを投与する方法である。まだ例数が少ないが、効果がみられる可能性がある。肺がん、膵がん、小児がんでも、国の規制当局との攻防が生々しく報告された。

と述べているのが興味を引きます。先日の中村祐輔教授の、シカゴ赴任前の講演でも同じような話をされていました。中村教授は憤懣やるかたないという話しぶりで、「このままでは日本の医療はダメになる」と強調していました。攻防の具体的な内容まではわかりませんが、福島原発事故での厚生労働省の対応ぶりを見ていても、さもありなんと感じます。政府や行政を動かすには患者の行動が大事、国民の行動が大切です。役人・政治家は、一人のデモの後には1000人、1万人のおなじ考えの国民がいる、一通の抗議・要請の後には10万人の後ろ盾があると、敏感に感じるものです。

最後のセッションでは、まずメディアから、アンケート調査に基づいた興味ある報告(NHK報道局科学文化部記者の薮内潤也氏)があった。医療者側と患者の「最後までがんと闘う」意識に違いがあること、すなわち、医療者は20%程度のみ最後まで闘うと考えるのに、患者側は約80%の方が、そう思っていることのずれについて、指摘があった。このようなことも、十分なコミュニケーションが不足していることから、生じている可能性がある。

 続いて、市民団体から見たがん治療というタイトルで、「市民のためのがんペプチドワクチンの会設立準備室」の代表・會田昭一郎氏からのお話があった。がんワクチンのようなまだ医薬品として認可されていないものを、できるだけ早く規制当局に認めていただくには、患者団体のお力が大変重要であることを実感した。私も大学病院を預かるものとして、市民、メディア、医療者が頻繁に情報交換し、みんなの力で、正当なお薬を早く世に出す重要性を再確認させていただいた。

 総じて、熱気にあふれる会であり、この会が、「日の丸印のがんワクチン」をつくり出すことを確信することができ、応援団として嬉しく思うとともに、さらになすべきことの決意を固めることができた。

 皆様、ともに頑張りましょう

がんワクチンは従来の抗がん剤とは違った臨床研究デザインで行なう必要があると、FDAは2009年に「企業向けガイダンス-がん治療用ワクチンのための臨床学的考察」を出していますが、日本の規制当局、それに従属している「御用学者」(中村教授もこの言葉を使っていた)は、従来通りの研究デザインに固執しているのだと思われます。

それではいつまで経っても新しい薬はがん患者に届きません。臨床試験を簡略化せよと主張しているのではありません。新しい時代には新しい仕組みが必要なのです。あくまでも「効果のある薬を、早く、公平に」届けることです。裁判闘争をしている一部の患者のように「混合診療」を認めるべきだとは考えていません。崩壊しかかっている国民皆保険制度を立て直し、患者の立場に立った薬事行政を求めます。

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