サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

リリー・オンコロジー・オン・キャンパス

製薬会社の日本イーライリリー(株)が主催する、がん患者、がん経験者及びその家族を対象とした写真・絵画コンテスト『リリー・オンコロジー・オン・キャンバス “がんと生きる、私の物語。”』があります。その第2回コンテストに作品が入選しました。入選の連絡は昨年夏頃にいただいていたのですが、昨日には立派な作品集も届き、サイト上にも作品が公開されるようになりました。残念ながらグランプリは逃しましたが。

第2回 受賞作品発表

写真は、朝焼けの空をバックにチェロを弾いている姿を狙ったのですが、三脚を立ててタイマーでの撮影です。10秒で椅子に座ってチェロを取り弓を構えるのはぎりぎりでした。少し表情が硬いのはそのためです。空の赤みはPhotoshopで少し強調しています。

コンテストは写真または絵画とエッセーの組み合わせです。グランプリや特選の発表にはエッセーも紹介されているのですが、入選作品のエッセーはアップされていないので、文字数の制限でカットした部分も含めて、こちらに掲載しておきます。

癌とは闘え、死とは闘うな

「内科の先生が膵癌を疑っているらしいので、超音波は膵臓を念入りに診てください。」会社の健康診断で検査技士にそうお願いした。境界型糖尿病の私の血糖値は数ヶ月前から急上昇し、体重も減少していた。検査が終わると、女性の検査技師さんが廊下を飛ぶように走って行くのがガラス越しに見えた。

主膵管が拡張しているのがはっきりとわかる。癌の王様と言われる膵癌に違いない。「先生、これは死刑宣告ですよね」と言いながらも意外と平静であった。今日やるべきとは何か。抜かっていることはないか。どこの病院にするか。急いでネットで検索する。

2日後の癌専門病院でのCT・ 血液検査の結果は、ステージⅢの浸潤性膵管癌である。「切れますか?」「ぎりぎりだが何とかなるでしょう」「じゃあ、お願いします」その場で2週間後の手術を決めた。足の速い膵癌ではセカンドオピニオンで時間を無駄にすべきではない、と考えていたからだ。この日はチェロのレッスン日だった。1時間みっちりと練習し、先生に励まされて教室を後にした。2週間後、無事手術は終わった。

膵癌全体の5年生存率は約5% だ。予後の厳しいこの癌でも、生存率曲線の恐竜の尾のように延びた右端には必ずサバイバーがいる。統計は平均を表わしているだけで、患者の個性は無視している。しかし、私たちは統計データではない。鼻の形が違うように、癌細胞の性格だって違うはずだ。だから100%確実だという方法はないが、誰にでも可能性がある。しかし、希望は持つべきだが、往々にして希望は執着に変りやすい。だから、

    癌とは闘え、死とは闘うな

死と闘って勝った人はひとりもいない。
癌との闘いだけに費やした人生なんてつまらない。いつかはやりたかったことがあれば、今それに熱中すればよい。私の場合はチェロであり写真だ。そんな心の在りようが癌にも効くようだ。6月には術後5年を迎える。

お涙ちょうだいの闘病記などは読まない。
人間には力の及ばないことがある。今やるべきことをやり、その結果を受入れる。ま、こんなものか、との思い切りも必要なときがある。

現在は第3回のコンテストが進行中です。


月刊誌「がんサポート」の新年号、「がんブログの達人 その人気のヒミツ」として、このブログを紹介していただきました。(そのわりにはアクセスが増えないなぁ?)

「がんサポート情報センター」は、このブログでも良く引用させていただいています。膨大なデータが集積されているのですが、サイト内検索がないのが不便です。竹部さん、なんとか改善してくださいよ。

コラムにも書いているように、このブログの過去4ヶ月における1日平均アクセス数は1,382となっています。なぜだか土日のアクセスが少ない。みなさん勤務先でアクセスしている?のかもしれません。おかげさまで、合計アクセスが180万になろうとしています。今後も焦らずぼちぼち書いていきます。

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