サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

代替医療のみで治療するがん患者は生存率が低い

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代替医療のみで治療したとは未確認

表記の話題でネットは賑わっていますね。

原論文はこちら

「今回の研究では、米国内のがん患者のデータベースから、限局性の乳がんまたは前立腺がん、肺がん、大腸がんと診断され、代替療法のみを受けることを選択した患者280人を特定。」とされていますが、どのような代替医療を受けたのかは判明しません。JCASTの記事によれば、

NCDは、認定を受けた米国内の医療機関1500か所以上から集めた信頼性の高いデータが蓄積されており、患者のステージ(がんの進行状況)はもちろん、標準治療を受けたか否かも記録されている。
そこでまず「標準治療を受けていない」とされていた患者を「代替医療を受けていた患者」と想定。データから、「診断時に転移は確認されていない」「末期がん(ステージ4)ではない」「がんが進行しやすいような他の病気や遺伝的特徴がない」など死亡率に影響を及ぼしそうな条件が均等なものを抽出した。

とのことなので、代替医療を受けていたかどうかは確認していないのです。

さらに、「最初に発生した原発部位から広がっていなく限られた狭い範囲にのみある<限局性のがん>に対し」ですから早期がんに限った話です。患者数も280人では少なすぎます。

標準医療との併用も

「結論として、本発明者らは、標準治療をを伴わずに代替医療での治療を最初に選択した癌患者は死亡する可能性がより高いことを見出した。」と、最初に代替医療を選択した(と推測される)患者が対象であり、その後標準治療をおこなった可能性もあると示唆されています。

ですから正確に言えば、早期がんで標準医療を受けた患者とそれ以外の患者集団を比較したら死亡リスクが2.5倍になった、と言うべきでしょう。それは当然の結果でしょう。驚くほどのことではありません。その中には無治療も含まれているかもしれません。医療保険の劣悪なアメリカでは、保険のない国民は代替医療に走るか臨床試験を受けるしか治療の方法はありません。

患者が知りたいのは代替療法の上乗せ効果

しかし、日本のわれわれが知りたいのは、

再発・転移したがんで、標準医療に代替医療を上乗せした場合の効果なんです。

今回の研究は、それに対する答えにはなっていません。日本では、近藤シンパ以外は無治療を選択する患者はいないだろうし、代替医療だけの患者もほとんどいないでしょう。

それに、患者の生活の質(QOL)は考慮されていません。耐えられない抗がん剤の副作用を嫌って、余命が短くても、副作用のない無治療や代替医療を選んだ患者の生活の質(QOL)は考えられていないのです。エビデンスなどなくても、ごく希にでも効果を実感できて激しい副作用がないのであれば、十分に高い医療費を払う価値はある、と考える患者もいるでしょう。

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