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カフェインの脱水作用は都市伝説

連日30度を超える猛暑が続いています。こんなときは冷たいお茶がおいしいですね。

熱中症予防のためにも、こまめに水分と塩分の補給をしましょう。

水分の補給でお茶を飲む場合には、カフェインの含まれていない麦茶やほうじ茶が良いとされています。熱中症対策としてコーヒーや緑茶を飲むことは勧められていません。それは、カフェインの利尿効果によって、飲んだ量以上の尿が出てしまい、体内の水分不足、すなわち脱水状態になるからだとされています。

これが、これまでの一般的な解釈ですが、本当なのでしょうか?

カフェインの利尿作用

水分補給の専門家であるAnn Grandjean氏は次のように述べています。

これまで長きにわたり、カフェインの利尿作用により脱水症状が起きると信じられてきましたが、近年、この説は必ずしも真実ではないことが明らかにされています。

むしろ、カフェイン入りの飲料を避けることが、結果的に水分摂取量の低下につながり、脱水症状のリスクを高める可能性もあります。

カフェインの日常的な摂取によって、私たちの体のカフェインに対する耐性は3~5日程度で得られることが知られており、カフェインによる脱水作用を過剰に恐れる必要はないでしょう。

その根拠となったのは、2004年に米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)が、「カフェイン含有飲料も、1日に必要な水分量の補給に有用である」とした研究です。

IOMは、カフェインおよび水分補給に関する過去の文献とこの10年間に発表された比較的新しい研究報告とを慎重に再検討しました。その結果、健康者において、カフェイン含有飲料摂取後24時間の尿量は他の飲料摂取後と比較して増えていないこと。カフェイン含有飲料はノンカフェイン飲料と同様に、1日の水分摂取の必要量に有用であることを示す十分な科学的根拠(エビデンス)があると判断しました。

さらにAnn Grandjean氏らが行った研究によって、

ことを明らかにしています。

【参考文献】Food and Nutrition Board of the Institute of Medicine. Dietary Reference Intakes for Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate 2004. Accessed October 11, 2006.

カフェインが脱水作用を起こすと言われた根拠は?

それでは、今でも熱中症対策にカフェイン飲料を飲むのは控えるようにと言われているのはなぜでしょうか。

それは、根拠となった試験のデザインに問題があったのです。

カフェインに関する多くの試験は、「カフェインはカフェイン耐性のない被験者の尿排出量を増やすのか」という疑問を明らかにするためにデザインされました。

つまり、これらの試験では、被験者のカフェイン耐性をなくすために、少なくとも試験の1~4日前なカフェインの摂取を控える必要がありました。

そのようにデザインされた試験では、被験者の尿排出量がカフェイン摂取後に増加したとしても、日常的にカフェインを摂取している人々と同じ結果になるはずがないのです。

また、大半の試験では、カフェイン摂取後短時間の評価しか行われていません。

カフェインの血中濃度が半分になるまでの時間(半減期)には、大きな個人差があることが知られています。摂取後短時間での評価では、個人差を無視した結果、誤った結論になった可能性があるのです。

さらに、通常の摂取量よりも大量のカフェインを急激に摂取すると、短時間で尿排泄が刺激されることも知られているのです。

ですから、「カフェインの利尿効果によって、飲んだ量以上の尿が出てしまい、体内の水分不足、すなわち脱水状態になる」は、「日ごろカフェインの摂取をしていない人は」と、但し書きをすべきなのです。

日ごろからお茶を飲んでいる方なら、熱中症対策の水分補給のためにカフェインを含むお茶を飲んでも大丈夫なんです。

真夏のお茶の飲み方

私のお茶の摂りかたを紹介します。

お茶ミルは京セラの製品がお薦めです。10年くらい使っていますが、丈夫な製品で、いまだに現役です。どこの製品を買っても、お茶ミルの主要部品である臼歯は京セラのセラミックが使われています。

薬や食品との相互作用

あまりに濃いお茶は、妊婦や小さなお子さんがいる場合は避けた方が良いでしょう。

いくつかの薬剤との相互作用もあります。気になったら主治医や薬剤師に相談をしましょう。

カテキンの抗がん作用

がん患者には、代替療法としてカテキンを含んだお茶をお薦めしています。カフェインによる利尿作用を心配して、夏場はお茶を飲まないというのは勿体ないです。

国立がん研究センターのコホート研究においても、緑茶の抗がん作用が明らかになっています。

解析の結果、緑茶を1日1杯未満飲む群を基準として比較した場合、1日5杯以上の群の全死亡リスクは、男性の全死亡0.87、女性の全死亡で0.83と低く、摂取量が増すにつれてリスクが下がる負の相関がみられました。

死因別には、がん死亡との関連は男女ともみられませんでしたが、心疾患による死亡は男女とも低く、脳血管疾患と呼吸器疾患については男性でのみ低いという結果でした。

紹介したように、毎日続けてお茶を摂取している方なら、カフェインの利尿作用を心配する必要はありません。

安心してカテキンを摂り、緑茶の抗がん作用を利用しましょう。

緑茶の抗がん作用についていは、下の「このブログの関連記事」をご覧ください。

 

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