サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

定期検査 2年6ヶ月経過

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今日は癌研での定期検査。術後2年6ヶ月になる。人身事故で電車が遅れて、検査の予約時間ににぎりぎりで間に合った。人身事故の半分はがん患者だという話をどこかで聞いた記憶がある。病気を苦にして、あるいは治療での経済的な悩みが原因だろうか。がん患者になれば医療費が生活を圧迫する。政治が変わっても庶民に恩恵が及ぶのはいつのことになるのやら。

造影CTの結果は「異常なし」。肝臓にも、残された膵頭部にもおかしな影はまったくなし。肝臓の写真なんかは、一定のコントラストできれいなものでした。腫瘍マーカの値も、CA19-9が21.8、CEAが4.1と、正常値の範囲に収まっている。転移するとすれば肝臓で、肝機能に関する数値に真っ先に異常が現われるはずだ。しかし肝機能も全て良好。血液検査の40項目の値全てが正常値の範囲内だから、この検査結果だけを見れば、他人はがん患者だとは思わないに違いない。私ほど健康な人間はいないんじゃなかろうか。がん細胞があるかも知れないけれど。

「生存期間中央値の2年3ヶ月はクリアですね。次は半年後にしましょう」と先生が言われる。「3ヶ月おきの血液検査はどうしましょうか?」と質問したら、「仮に再発しても、治療の開始が3ヶ月早かろうが遅かろうが、残りの生存期間に差はないというデータがあります」との回答。

全生存率(OS)には確かに差がないというエビデンスがある。しかし、それは再発後TS-1かジェムザールの標準治療をする場合という条件が付いているはずだ。がんとの共存を計ろうとする休眠療法や、免疫細胞療法を選択する時にも同じことが言えるかどうかは疑問だ。膵臓がんのダブリングタイム(体積=がん細胞数が2倍になる期間)は3~4週間だといわれている。他のがんに比べて格段に成長が早い。3ヶ月のあいだには8倍、6ヶ月なら64倍と、計算上はなる。このように考え、途中3ヶ月で念のため血液検査だけを入れていただくようお願いした。私は多分再発・転移したばあい、癌研での標準治療は選択しないだろうと思う。無治療という選択をするかもしれない。

AHP(階層化意志決定法)を使って、再発後はどの治療法を選択するかも考えて準備万端だったが、また役に立たなかった。これはこれでありがたいことだから、文句を言う筋合いではあるまい。寿命が半年延びたと思えば、感謝してもしすぎることはない。これから半年はがんのことなんかは忘れて、忘れることが難しければ一番最後に考えることにして、のんびりと暮らし、幸せを感じる時間を増やすことだ。

今夜は今年最後のチェロのレッスン日。ベートーベンの「御身を愛す Ich liebe dich」が今の練習曲だが、2番パートも初見で難なく弾けてしまう。確実に上達していることは間違いない。五十肩の影響かどうしても1ポジションで腕が下がり気味。音程が高くなりがちになる。カザルスの「鳥の歌」の楽譜を、ピアノ伴奏付きのCDで買ってある。少し弾いてみたが、私にも十分弾けそうだ。正月までにこれをマスターしよう。フォーレの「夢のあとに」だとか「リベルタンゴ」など弾きたい曲がたくさんある。バッハの無伴奏チェロ組曲も一曲ぐらいはマスターしたい。まだまだ死ぬのはもったいない。

2年半経って再発しなければアコースティックのチェロを買いたいと思っていた。さてその条件は満たしたが、あいにくと40万円のあてがない。樋口強氏は『最近、あなた笑えてますか』で、「欲しいものには妥協しない」と言っていたよなぁ。私ほどがん治療に金をかけていない患者も少数派だろうと思うが、さてどうしたものか。

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