サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

血中ビタミンD値は頻度の低い癌のリスクと関連しない

「米国統合医療ノート」の安西さんから適切なコメントをいただきました。ぜひコメントと合わせて閲覧してください。


先に「ビタミンDとメラトニン」という記事を書きましたが、これに反する内容の大規模研究結果がでました。「血中ビタミンD値は頻度の低い癌のリスクと関連しない」との米国国立癌研究所(NCI)を含めた計10件の独立した研究機関でも結果です。

NCIニュース 2010年6月18日

血中ビタミンD値が高いほど癌の発生リスクは軽減されるかもしれないという希望が持たれていたが、大規模な研究により非ホジキンリンパ腫や子宮内膜癌、食道癌、胃癌、腎臓癌、卵巣癌、膵臓癌に対しては予防効果が無いことが認められた。

この研究は、米国国立衛生研究所の1機関である米国国立癌研究所(NCI)をはじめとするその他多く研究機関の研究者たちによって実施され、計10件の独立した研究で採取した血液サンプルのデータを総合して、血中ビタミンD高値の人々がこれらの稀な癌に罹りにくいのかどうかを調査した。これらの分析の詳細はThe American Journal of Epidemiology誌のオンライン版に2010年6月18日に発表され、2010年7月号の印刷版に発表された。

試験参加者は研究によっては30年以上も追跡調査を受けた。試験責任医師らは、血中ビタミンD値の高い(75nmol/L以上)、あるいは低い(25 nmol/L以下)参加者における癌発生率と、血中ビタミンD値が正常範囲内(50~75
nmol/L)の参加者における癌発生率を比較した。

これらの研究において、少数ではあるがビタミンD値が100nmol/L以上の試験参加者の間では、膵臓癌の発生率が高まるという結果を認められたが、他の部位の癌に対しては発症率の上昇は認められなかった。この因果関係を明確にするために更なる研究が推奨された。

これまで研究者および臨床医らはビタミンDの癌予防への有効性について期待してきた。ビタミンD値が高ければ直腸癌のリスクは低いという相関性がいくつかの文献で示されたものの一貫した根拠はない。

「今回のコホートデータの統合解析では、ビタミンDは骨の健康には有効性が高いにもかかわらず、これらの頻度の低い癌の発症リスクの軽減と関連していなかった」とAlbanes氏は結論づけた。

これまでの小規模な研究ではビタミンDはがんのリスクを減少させるという結果であったのが、大規模な研究では否定されたということです。さて、どのように考えればよいのでしょうか。一般論でいえば、往々にして大規模な統計では過去の小規模な統計結果と異なる結果が出ることは珍しくないことです。これは統計という手法の性格から言えることであり、大規模な統計になるほど母集団の均質性を保つことが難しくなるからです。一方で小規模な統計でその集団における傾向はつかめても、全体の傾向は分からない。統計とは難しいものですね。

もともと一種類のサプリメントにがんの予防・治療効果を期待することが無理なわけで、明確ながん予防効果を示すサプリメントは存在しないのです。「がんを治すことのできる代替療法は一つもないが、自己治癒力・自然の防衛力を無視することもナンセンスである」とのシュレベールの言葉にあるとおり、過大な期待は禁物ですが、さりとてまったく効果がないとも言いきれない。他の効果もあり、副作用が問題にならないのであればせっかちに決めつけないで続いて服用を続けるつもりです。

『がんの補完代替医療ガイドブック 第3版』なども参考にして、自分で判断して決断する。これしかないでしょうね。

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