サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

チェロ発表会 Wind & Strings Concert 2011

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先週の信州での一枚。


昨日はチェロの発表会「Wind & Strings Concert 2011」とタイトルは仰々しいが仲間うちの発表会のようなもの。

4人で2パートに分かれてミシェル・コレットのソナタハ長調。繰り返しでパートを交代して全員が曲の全体を挽くことができるように構成した。終わっての感想? まぁ80点かなぁ。

なによりも術後4年半で、こうして楽器演奏を楽しめることだけで幸せである。演奏がうまくいけば、なお幸せである。こちらは己の才能と練習次第だから、頑張ってもそれなりの運命が待ち構えている癌とはちがい、己の才能を呪うというわけにはいかない。

チェロを弾く上で難しいことは、ひとつの音から次の音にいかに到達するかを知ることだ。パブロ・カザルス

を実感した演奏会だった。知ることができても体がついていかないのだが。音を値切らないで弓を十分に使う。しかし次の音に出遅れない。で、かつ音のつなぎ目が不自然にならないように。人生いかに生きるべきかよりも、こちらの方が難問のような気がする。

みなさん自分のチェロを持参しているので控え室で楽器を取り替えて弾いてみたが、それぞれに音色が違う(あたりまえだが)。モンターニャは繊細で高音が澄んでいる。私のゴフリラーは低音の響きが朗々としている。他のモデルとはやはりひと味違う音作りだ。カザルスもゴフリラーであった。

ハ長調はチェロがもっとも豊の朗々と響く。バッハの無伴奏チェロ組曲第3番がハ長調であり、バッハが喜びを表現するときに好んで用いたキーであるそうだ。無伴奏組曲第3番のプレリュードは音のシャワーがほとばしる。ネタを明かせば、2009年カナダのケベック作家連盟文学賞を受けたエリック・シブリンの『「無伴奏チェロ組曲」を求めて ─ バッハ、カザルス、そして現代』に書いてあった。カザルスが弾くプレリュードを聴きながら書いているが、確かに音のシャワーがほとばしっている。

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