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DPP-4阻害薬:プラセボ対照RCT試験で効果を示せず

欧州心臓病学会(ESC)の学術大会が、8/30~9/3までバルセロナで開催されました。DPP-4阻害薬に関する2件の大規模臨床試験の結果がNEJMに発表されています。

結論から言えば、私が担当医からDPP-4阻害薬を薦められても拒否している方針を変える必要はない。むしろ正しい選択をしているという確信が増してきました。

2つともプラセボ対象ランダム化比較試験(RCT)であり、

追跡期間は短かったとは言え、DPP-4阻害薬は、プラセボと比較して心血管イベントを増やさなかった、ということは逆に言えば、糖尿病の大血管合併症の抑制効果が証明されなかったということでしょう。さらにオングリザ錠では心不全による入院が約1.3倍になっています。「入院」は医師の裁量でどうにでもなるのですから、バイアスがかかっている可能性はあるとはいえ、増加したのですから信頼して良いだろうと思います。

どちらもHbA1cは0.3程度下がっていますが、エンドポイントではプラセボと同程度の効果しかないこれらの薬価は、オングリザ錠2.5mg 1錠 110.2円、オングリザ錠 5mg 1錠 166.0円です。一方でアマリールは、1mgで1錠 19.2円、3mgで44.8円であり、ジェネリックならさらに安くなります。一桁違うのです。私の場合はアマリール0.5mg(薬価11.3円)を1日1錠で30日分で、自己負担金が680円ですから、DPP-4に変えたら7,000円程になるかもしれません。

糖尿病治療薬で患者の5~6割に処方されており、第一選択肢といわれる薬がこの程度の効果しか期待できないのです。それは上の画像に見られるように、製薬企業の大々的な宣伝・営業活動の結果でしょう。ノバルティス社のバルサルタン問題と同じような構図だとしたら、専門医には製薬企業のパンフレットではなく、今回のRCTの結果をもっと参考にして欲しいものです。

血糖値管理においてHbA1cは一つの管理基準値であり、これ自体が目的ではありません。薬に過度に頼ることなく、運動と食事療法(糖質を制限する)でコントロールすることが大切だと思っています。当面はアマリール0.5mgで、可能な限りこれも止める方向を目指しています。

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