DPP-4阻害薬:プラセボ対照RCT試験で効果を示せず

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欧州心臓病学会(ESC)の学術大会が、8/30~9/3までバルセロナで開催されました。DPP-4阻害薬に関する2件の大規模臨床試験の結果がNEJMに発表されています。

結論から言えば、私が担当医からDPP-4阻害薬を薦められても拒否している方針を変える必要はない。むしろ正しい選択をしているという確信が増してきました。

2つともプラセボ対象ランダム化比較試験(RCT)であり、

  • saxagliptin(オングリザ錠:協和発酵キリン)
    「2.1年の追跡で心血管イベントに増減なく、心不全による入院は1.27倍に増やした」心血管イベント高リスク群の2型糖尿病患者16,492人を対象として、saxagliptinまたはプラセボのいずれかを無作為割り付けして比較。
    主要評価項目の心血管死、心筋梗塞、虚血性発作の発現率は、saxagliptin群7.3%、プラセボ群7.2%(HR 1.0, CI 0.89-1.12, p=0.99(有意性), p<0.001(非劣性) )。
    副次的評価項目として、不安定狭心症、冠血流再建、心不全を加えた発現率を比較した結果では、saxagliptin群12.8%、プラセボ群12.4%でした(HR 1.02, CI 0.94-1.11, p=0.66)。
    心不全による入院は、saxagliptin群3.5%、プラセボ群2.8%であり、saxagliptin群に多く生じています(HR1.27, CI 1.07-1.51, p=0.007)
  • alogliprin(ネシーナ錠」武田薬品)
    「中央値18ケ月の非劣性RCTで、心血管イベントを増やさなかった」15-90日以内に急性冠症候群を起こした5,380名の2型糖尿病患者を対象として、alogliprinまたはプラセボのいずれかを無作為割り付けして効果を比較。
    主要評価項目の心血管死、心筋梗塞、脳卒中の発現率は、alogliprin群11.3%、プラセボ群11.8%(HR 0.96, p<0.001(非劣性) )。

追跡期間は短かったとは言え、DPP-4阻害薬は、プラセボと比較して心血管イベントを増やさなかった、ということは逆に言えば、糖尿病の大血管合併症の抑制効果が証明されなかったということでしょう。さらにオングリザ錠では心不全による入院が約1.3倍になっています。「入院」は医師の裁量でどうにでもなるのですから、バイアスがかかっている可能性はあるとはいえ、増加したのですから信頼して良いだろうと思います。

Images

どちらもHbA1cは0.3程度下がっていますが、エンドポイントではプラセボと同程度の効果しかないこれらの薬価は、オングリザ錠2.5mg 1錠 110.2円、オングリザ錠 5mg 1錠 166.0円です。一方でアマリールは、1mgで1錠 19.2円、3mgで44.8円であり、ジェネリックならさらに安くなります。一桁違うのです。私の場合はアマリール0.5mg(薬価11.3円)を1日1錠で30日分で、自己負担金が680円ですから、DPP-4に変えたら7,000円程になるかもしれません。

糖尿病治療薬で患者の5~6割に処方されており、第一選択肢といわれる薬がこの程度の効果しか期待できないのです。それは上の画像に見られるように、製薬企業の大々的な宣伝・営業活動の結果でしょう。ノバルティス社のバルサルタン問題と同じような構図だとしたら、専門医には製薬企業のパンフレットではなく、今回のRCTの結果をもっと参考にして欲しいものです。

血糖値管理においてHbA1cは一つの管理基準値であり、これ自体が目的ではありません。薬に過度に頼ることなく、運動と食事療法(糖質を制限する)でコントロールすることが大切だと思っています。当面はアマリール0.5mgで、可能な限りこれも止める方向を目指しています。


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