サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

治療も政治もインフォームド・コンセント

昨日の記事『「週刊現代」の医療バッシング記事』で書いた血糖値管理の考え方で、同じ趣旨のことを内科医の酒井健司氏がアピタルに書いてくれた。

糖尿病を治療する目的は血糖値を下げることではない?

糖尿病を治療する目的は、糖尿病に伴うさまざまなリスクを下げることであって、血糖値を下げることは手段に過ぎません。むしろ、血糖値を下げ過ぎるとかえってリスクが増える場合もあります。

ACCORD試験にも言及していて、

大ざっぱにまとめると「血糖値は正常化したが患者は死んだ」というわけです。
この場合、HbA1cが「代用のアウトカム」、全死亡が「真のアウトカム」です。HbA1cが正常化しても、全死亡が増えるのであれば、無意味どころか有害な治療です。HbA1cの数字の正常化だけに気をとられると、かえって患者さんの命を縮めることになりかねません。

医療介入を行う目標は真のアウトカムの改善だということを医師は忘れてはいけません。

でも、それを忘れている医者が多い。

インフォームド・コンセントとは、「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念だ。患者の今の状態を正しくつかんで治療の目標を立て、そのための手段をいくつかあげて、メリットとデメリットを説明し、患者が正しい選択ができるようにする。

政治も同じだ。

今の内外の政治的・経済的状況を説明し、目標を立て、それに到る手段と方法をあげて、国民に支持を訴える。これが民主主義の根幹だろう。

しかし、今回の選挙は争点隠しに終始した。「憲法の改正は争点ではないが、自民党の公約としてはあげてある」と言い、株価の凋落でいくら損をしているのかの発表は選挙後に延期し、2%の物価上昇と名目国内総生産(GDP)600兆円達成の時期もなんども先延ばしだ。

2005年、小泉内閣の進める構造改革・郵政民営化政策は「B層」を対象として考えたという。

B層とは、マスコミ報道に流されやすくIQ」が比較的低い、構造改革に中立的ないし肯定的。構成者は主婦層、若年層、シルバー(高齢者)層など。具体的なことは分からないが小泉総理のキャラクター・内閣閣僚を支持する、を特徴としている。

要は情緒に流されやすく、知的レベルの低い人たちを相手にしていれば、選挙では勝てるし、思い通りの政策が実行できる。数の多いバカを相手にした方が得策ということだ。

安倍総理もこう考えているのだろう。

日本国民の知的レベル、民度がその程度なのだから、安倍さんの分析が正しい。民進党や共産党、SEALDsが、論理的に説明しても、それは耳には届かない。

もっともっと、沖縄のように叩かれ虐げられる状況が、全国的になれば、B層も少しは目が覚めるに違いない。

しかしその前に、例えば自衛隊員が海外で犠牲になり、政府専用機で白い柩となって帰ってくれば、「彼らの犠牲を無にするのか?」と、隣のおじちゃんおばちゃんが日章旗を振って町を練り歩かないとも限らない。

「ととねえちゃん」でも怖いのは特高ではなくて、隣のおじちゃん、おばちゃんなんだよね。

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