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統合医療を考えるなら、『がんに効く生活』を

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「海外 癌医療情報リファレンス」の7月28日付でこんな記事が載っていました。M.D.アンダーソンがんセンターで、7月22日に次のような教育セミナーが開催されたという記事です。

M.D.アンダーソンがんセンターがシュレベール氏の講演をおこなった際の案内にはこう記されています。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターは、ベストセラー『がんに効く生活』の著者ダヴィド・S.シュレベール医師(医学博士)を迎え、教育セミナーを7月22日(水)に開催。

S.シュレベール医師は著書を引用し、日々の生活やがん予防に関する人々の考え方に変化を与え、次の事柄について実践の方法を分かちあう。

・ 科学的根拠にもとづく抗がん食を取り入れる
・ ストレスがいかにがんに影響するかを認識する
・ 運動、ヨガ、瞑想のメリットを享受する
・ 環境有害物質への曝露を最小限に抑える
・ 従来の健康法と代替的な健康法のバランスをとる

S.シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディカルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

シュレベール博士の『がんに効く生活』は、NHK出版から2009年の2月に翻訳されて出版されています。内容の多くは現時点でも大いに参考になるものです。

がんに効く生活 克服した医師の自分でできる「統合医療」

ダヴィド・S. シュレベール
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  1. 統計や数字でわからない、本当の「余命」
  2. がんの弱点を知る
  3. がんに効く生活―環境を知る
  4. がんに効く生活―効果のある食物
  5. がんに効く生活―心の力
  6. がんに効く生活―運動
  7. まとめ―(がんを)作らない、育てない、あきらめない

からだの見張り番である免疫細胞をどのように活性化するか、がんを防ぐこころのあり方の秘訣、死の恐怖を乗り越える秘訣。著者自身の実体験に基づく内容ですから説得力があります。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

日本でも同様でしょう。多くの医者は代替療法なんて興味もないし、知識もない。

現代医学のエビデンス至上主義では確かに断言できるようなデータは存在しないかもしれません。でも、一方で同じ病期で、同じような治療をしても再発する人もいれば再発しない人もいる。そうした結果になるには何かが違うはずです。<エビデンスがない=効果がない>ではないのです。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。間違いなく。

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