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DWIBS(ドゥイブス)法とは?特殊なMRI

完治させるために抗がん剤を使う

岡田直美医師と善本考香さんの共著『このまま死んでる場合じゃない』では、癌治療の過程では頻繁な検査が不可欠だとして「少し特殊なMRIを受けていただきました」と書かれています。

「抗がん剤は延命効果しかないから、使わない」という選択肢に加えて、「完治させるために抗がん剤を使う」という選択肢もあり、そのための武器として特殊なMRIを使うのだと仰っていました。

この「特殊なMRI」がDWIBS法のことです。

先日の旧『すい臓がんカフェ』(現在は『膵臓がん患者と家族の集い』)での善本さんの講演でも、このドゥイブス法に触れられていました。

がんの治療においては、抗がん剤の効果を早く判断し、効果がなければ次の手を考えることで治療効果を上げることができます。

その判断には造影CTやPET(陽電子放出断層撮影)が使われますが、多くの病院では造影CTは3か月に1回しか検査をしてくれません。またPETは費用も高く、特別なことがない限り1年に1回以上行うことは困難です。

DWIBS(ドゥイブス)法は造影剤を使わない単純MRIなので、これらの制約がなく放射線被ばくの心配もありません。

DWIBS(ドゥイブス)法とは

2004年に、高原太郎氏(東海大学工学部 医用生体工学科教授)らの研究グループにより考案されました。

拡散強調画像(Diffusion weighted Image 以下DWI)を全身に用いたのでDWIBS法と命名し、がんのスクリーニングにおいてPETと同様の画像をMRIで撮影することを可能にしました。

DWIは、細胞内の水分子のブラウン運動という微細な動きをMRIで可視化するもので、自由呼吸下で撮影しても画像には影響を及ぼさないことがわかっています。ハイパーサーミアのようにコンピュータで患者の呼吸の動きに追随する必要がありません。

これにより、長時間の撮影が可能になり、細かいデータを測定して三次元的に全身の撮影ができるようになりました。

PET-CTとの比較

焼津市立総合病院のサイトに載っているPET画像との比較です。

写真左側は当院で撮ったDWIBS画像、右側は他院で撮ったPET画像です。
青い矢印は、原発の腫瘍です。○で囲った部分はすべて骨に転移したところになりますが、DWIBSの赤い○の部分は、PETでは見つけることができていません。DWIBSがとても有用であったことがわかります。

ドゥイブス法の特徴

放射線による被ばくがない

DWIBS法はMRIなので、放射線による被ばくがありません。また、単純MRIであり造影剤を使用しません。従って造影剤を投与して撮影するCTに比べて患者への負担も小さくなります。被ばくの恐れがないので繰り返して検査ができます。

小さな腫瘍も検出できる

DWIBS法では概ね2mm程度の空間分解能があります。造影CTでは10mmの腫瘍が検出限界で、PETでも5mm程度ですので、計算上ではPETでみつけられる腫瘍の6.4%の大きさの腫瘍もDWIBS法でみつけられるということになります。DWIBS法は三次元的な画像を得ることができます。

2週間で抗がん剤投与の効果を判定できる

効かない抗がん剤を数ヵ月も投与するのは時間の無駄です。特に膵臓がんのように腫瘍の増大速度が大きいがんでは、この数ヵ月は致命的になります。

現状では数ヶ月間の腫瘍マーカーの推移を見たり、3ヶ月ごと造影CTを撮って判断するのですが、これでは遅すぎます。

がんの治療効果判定のためのガイドラインでは造影CTが推奨されていますが、CTは腫瘍の大きさの変化で判別するため、抗がん剤投与から1カ月ほどの時間が必要なのです。

DWIBSは腫瘍の大きさが変化していなくても、効果があれば画像の信号強度が変化して腫瘍部分が薄く写ります。さらに、拡散係数の変化によっても効果を判定することができるので、抗がん剤投与から1~2週間ほどで判定ができます。

費用が安い

DWIBS法は単純MRIなので、造影CTやPETに比べて検査の費用が抑えられています。保険点数は1,300点と、PETの8,600点の約15%です。健康保険が適用できるので、患者の負担は3割負担として6,000円程度です。

がんの悪性度が分かる

造影CTやPETでは、腫瘍のサイズや腫瘍のあるなしは分かりますが、悪性度までは分かりません。
DWIBSなら画像や拡散係数(ADC)の変化によって悪性度を推定することが可能です。

例えば肝臓に多数の転移病変がある場合、ラジオ波焼却法によって、より悪性度の高いものから叩きたいのですが、CTでは悪性度までは分からないので、増大速度の大きいものや患者の生活の質(QOL)を下げる可能性のあるものを標的にしているのが現状です。

ドゥイブス法はどこで受けられるの?

「ドゥイブス法」で検索すればたくさんの病院がヒットしますが、高原医師によると、その技量は千差万別、信頼のおけない病院もあるということです。

開発者である高原医師のサイトに、DWIBS法の検査ができかつ、信頼のおける医療機関の一覧が載っています

内容は高原医師のサイト「がん患者様(診断・経過観察)ー施設紹介 」で更新されています。

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