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光免疫療法が目指すがん治療の未来―「がんで死なない治療」への挑戦

光免疫療法が目指すがん治療の未来―「がんで死なない治療」への挑戦

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光免疫療法の動物実験をしていると、がん細胞を破壊するだけでがんが治るパターンと治らないパターンがあることがあります。治るパターンでは、がん細胞を破壊すると、がんの組織に免疫細胞が入り込んでいき、がん細胞が次々と死滅して治る様子が観察されます。一方の、治らないパターンでは、免疫を強めてやる必要があります。光免疫療法でがん細胞を破壊すると、前述のように、がん細胞が壊れてできた”質の良い”抗原に対する新たなリンパ球(免疫細胞の一種)ができます。しかし、がん細胞を認識できるリンパ球がいくら体内で増えても、免疫チェックポイントが作用すると、攻撃ができません。こうした状況は、人間でも起こります。その場合には、光免疫療法に加え、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)のような免疫チェックポイント阻害薬を併用することで、効果的な免疫効果を得られる可能性があります。

動物実験では、腫瘍を異なる4か所に移植したマウスの一番大きな腫瘍に対して非熱性赤色光を照射すると、4つすべての腫瘍が消えることが確認されています。これは、がんの原発巣でがん細胞を攻撃することで、効果的な免疫の状態が作れれば、遠隔転移巣に対しても効果が得られる可能性を示しています。しっかりとがん細胞を認識して攻撃できるリンパ球が1つできれば、ワクチンのように全身に効果が得られるわけです。効果的な免疫の状態を体内で確実に作るためには、前述のように、光免疫療法に、免疫チェックポイント阻害薬などの他の免疫療法を組み合わせることを検討する必要もあると思っています。

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