サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

患者会に参加することで生存率が高まる

「患者会」あるいはオフ会に参加することはどのような効果があるのか、考えてみます。もちろん、同じ膵臓がん患者として、どのような治療法をやっているのか、副作用対策はなど、これからの治療に活かせる情報が欲しいと考えているはずです。しかし、患者どうしの集まりに参加することは、そうした直接的なものだけではありません。

樋野興夫先生が提唱している「がん哲学外来」の活動から、全国に広まってきた「メディカル・カフェ」があります。がん患者の悩みは必ずしも医学的なことばかりではないのです。

がん相談などでは、相談に出かけた方は、何かアドバイスをもらって帰るという感じですが、メディカル・カフェの同一平面という感覚は、相談者が教えられる立場とは異なります。

人間として共通の不安、悩みに関しては、教え、教えられるものではないですが、実は悩みを持った方が、自分自身に語っても、中々解決はつかないものです。むしろ、「解決しなくても解消しよう…」。そうです、カフェで同じ悩みを持つ人達と話し合ってみませんか。

とメディカル・カフェの役割を述べています。

がん患者どうしの互助的集まりに参加して精神的なサポートを受けている患者と、そうではない患者とでは、その後の生存率に大きな違いがあることが分かっています。

がんに効く生活 克服した医師の自分でできる「統合医療」

ダヴィド・S. シュレベール
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シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』(P.243~)には、次のように書かれています。

精神科医のスピーゲル博士は、「人間が完全に本来の自分に立ち返れるのは死の恐怖に直面したときだ」と信じていた。それを証明するために、余命数年または数ヶ月と宣告された乳がん患者のグループを励ます活動を行なった。しかし、奇跡的なことが起きた。彼女たちは死の恐怖に直面するはずだったのが、このグループに参加することで、自らの病を受入れ、喜び、生きることへの意欲、今この瞬間に共にいることへの心地良さといった肯定的な感情が生まれたかのようだった。

一年間定期的に集まった彼女たちは、それぞれの生活に戻っていった。彼女たちは、治療だけを受けているグループに比べて、精神的な落ち込みや不安感だけではなく、身体的な痛みを感じることが少なくなったことが分かった。

心理状態とがんの進行には関連性などないと確信していたスピーゲルは、精神状態が良くなった彼女たちが、それによって長生きをするはずがないことを示そうとした。

しかし、スピーゲルの期待はくつがえされた。50人の参加者の家に電話をかけると、余命数ヶ月から数年の告知から10年経っていたにもかかわらず、三軒は患者本人が電話に出た。対象グループはそれほど長生きした患者は一人もいなかった。全体では、互助グループに参加した患者は、対照群に比べて二倍も長生きしたことを認めざるを得なかった。

この研究は「ランセット」誌に掲載され、一大センセーションを引き起こした。心理的状態、メンタルな部分ががんの進行に影響を与えることが分かった瞬間だった。

旧『すい臓がんカフェ』(現在は『膵臓がん患者と家族の集い』)が、幾分でもこのような役割を果たせるようになれば嬉しいなと考えています。

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