サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

がんサバイバー5年相対生存率

曾野綾子氏の産経新聞に掲載された「アパルトヘイト支持」コラムが話題になっている。正確に言えば、ネットで炎上したが一般のマスコミは無視か小さい扱いである。私は曾野綾子氏も、夫である三浦朱門氏の作品とも、読むに値しないと思うので読んだことがない。

一人の人間がその脳内にどのような人種差別的思想を有していようが、それは自由である。禁止するすべはない。しかし、それを言葉にだし、あるいは行動に移すときには「社会的に妥当なのか」「世界標準に準拠しているのか」と問いかけ、結果に対する責任を負う覚悟がいる。常識のある大人ならそうする。許されるのはまだ知性の完成していない子供だけである。

彼女はコラムにおいて、南アでの生活を、白人の側から得々と語っている。当時アパルトヘイトの南アでは、黄色人種である日本人は「名誉白人」として、一応の白人扱いをされていた。経済が与えた「名誉白人」であった。つまり、本質は黒人と同じ差別される側であったが、お金のおかげで「ま、白人扱いしてあげるよ」ということだった。曾野綾子氏には、自分も差別される側だという認識ができなかったようだ。つまり彼女には「劣化した知性」しかなかった。そのような劣化した知性の持ち主なら、今回のようなコラムを書いても不思議ではないだろう。クリスチャンであることも、吉川英治文化賞や菊池寛賞を受賞していることが知性の質を担保してくれるわけではない。(近藤誠氏も菊池寛賞を受賞している)今回の件をろくに報じないマスコミの「知性」も確実に劣化している。

この程度の知性の持ち主が、政府の教育再生実行会議の委員だったのだから、日本の教育がますます劣化するのはあたりまえだ。

さて、タイトルは「サバイバー5年生存率」である。

がん情報サービスの「最新がん統計」が更新されて、10年相対生存率とサバイバー5年生存率が追加された。これまでは5年相対生存率のグラフしかなかったが、ピリオド法による10年相対生存率とサバイバー5年相対生存率が載っている。

10年相対生存率は、がんと診断されて10年後に生存している人の割合が、日本人全体で10年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかを表している(相対生存率の定義)。膵臓がんは男:4.6%、女:4.8%と、あいかわらずがんの中でも最低である。

こちらで紹介したアメリカのコンロン研究のデータと大差なさそうだ。抗がん剤が進歩しても、死亡率には寄与していないということなのか? この点は疑問だ。

もう一つは「サバイバー5年相対生存率」。がんが見つかってからがんばって2年経った。さて、この私の5年後(見つかってから7年後)に生存している確率はどれくらいなのか、というがんサバイバー患者がもっとも知りたいデータである。


例えば、告知から5年経った男性の膵臓がん患者の場合、さらに5年後に生存している確率は約80%である。先の10年相対生存率の4.6%よりは遙かに大きい。がんばればどんどん生存率は高くなっていくのである。1年半経過した当たりから、肝臓がんを追い越してグラフは急激に立ちあがっていくのが分かる。(肝臓がんがこんなに悪いとは知らなかった)乳がんや甲状腺がんはほぼ水平である。つまり時間が経っても生存率の上昇は期待できない(もともとが高いけど)。それに比べれば、がんの王様と言われる膵臓がんだが、がんばれば報われると期待できる。

2年間をがんばれば、さらに5年生きられる確率は40%、3年がんばれば60%である。7年経った私は?? 残念ながらデータはない。

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