サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

抗がん剤を止めたらCEAが1/10に

ステージⅣや術後の再発転移したとき、その後の治療をどうするかと考えたことがある。術後2~3年目の頃だっただろうか。「治療はしない」がその当時の私の結論だったし、今でもそのつもりでいる。抗がん剤によるわずかの延命効果と副作用、生活の質(QOL)の低下を天秤にかけて、自分の人生観・生命観・価値観をじっくりと考慮した上で「治療はしない」という選択をすることは、近藤誠氏の言う「放置療法」とは違うものである。

抗がん剤の数ヶ月の延命効果が貴重だという患者も、もちろん居るだろう。あるいは宝くじに当たるような確率で腫瘍が消失することを期待する患者もいるかもしれない。そして目一杯抗がん剤を投与するのなら、それはそれで良い。患者が主体手買いに判断して選択すれば良いだけのことだ。がん治療に唯一絶対の正解などは存在しない。正解の存在しない問題を、患者は自己責任で解けというのがインフォームドコンセントなのだろう。

長尾和宏医師がブログの記事『3ケ月で腫瘍マーカーが10分の1に』に注目したい。肺がんのステージⅣの患者さんで、抗がん剤治療を拒否して補中益気湯という漢方薬だけの治療を3ヶ月続けたら、腫瘍マーカーCEAが10分の1にまで下がったという経験を書いている。

漢方薬の効果だけではないだろう。むしろ長尾医師も書かれているように、治療をしないという自分の望み通りの考えをサポートしてくれる医師に巡り会い、「精神腫瘍免疫学(PNI)」でいうところの、心の平穏を得ることができたこと。好きな野菜作りに人生の意義を見出し、楽しく生きていることでがん細胞がおとなしくなっているのではないだろうか。

がんの宣告と抗がん剤治療の勧めで、初診時は疲れ果てていました。しかし私の一言でとっても安心され、普段はがん患者であることも忘れて感謝して楽しみながら生活している、と笑って言われました。

そう、がんであることすら忘れるほど人生を楽しめば良いのだ。1日に8時間もがんのことを考え続けていたら、疲れるだろう。時間はどんどん経っていくのに、がんのことだけを考えるなんて、勿体ないじゃないか。馬鹿馬鹿しいじゃないか。

私もそう考えていつのまにか再発もせずに8年になろうとする。治るかどうかは成り行きなんだから、それに振り回されるのはすでに「癌に負けている」ことになりはしないか。

「そうか、だったら私も治療を止めて野菜作りに励めば、がん細胞がおとなしくなるだろう。一丁やってみるか」と考えたあなた。それは考え方が逆。そう考えた時点で、あなたは事の本質を取り逃している。治るかどうかは「成り行き」だと言ったでしょ。成り行きとはコントロールできないということ。それをなんとかしようとしあた時点で、すでに取り逃しているのです。

さあ、明日は満開の桜見物だ。行き先は? 次回の記事のお楽しみということで。

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