サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

水出し緑茶の健康作用

先日7月1日の「ためしてガッテン」は『夏こそ!スーパー緑茶 新カテキンで免疫力が復活!』でした。録画しておいたのをやっと見ました。この番組、ときには眉に唾を付けてみる必要のある番組ですが、今回は果たして・・・。

氷水出し緑茶にすると、旨み成分も増えて、さらにエピガロカテキンが抽出されるのでマクロファージが活性化して免疫機能が高まるという内容でした。

登場したのは、農研機構・野菜茶業研究所の物部真奈美さん。野菜茶業研究所は「掛川スタディ」にも関わっている組織です。掛川市の深蒸し茶と健康の関係をずっと研究していて、ブログの記事「緑茶はがんに効くか?」でも紹介したことがあります。

物部真奈美主任研究員の論文「水出し緑茶に含まれるエピガロカテキンのマクロファージ食作用活性増強メカニズ」はこちらにありました。

茶葉中には様々な健康機能性成分が含まれているが、お茶を淹れる時の水温の違いにより浸出される成分構成が異なる。熱水で浸出させた場合、マクロファージの活性を抑制する作用をもつエピガロカテキンガレート(EGCG)が浸出してくるが、冷水で浸出させると EGCG は浸出され難くなる。

一方、免疫活性化作用を有するエピガロカテキン(EGC)は冷水でも浸出されてくることから、水出し効果が見出されているが、その作用メカニズムについては不明のままである。そこで緑茶のカテキンは EGC が主成分となる。水出し緑茶を長期間飲用(2週間以上)することにより生体(マウス・ヒト)において、感染症予防などに働く抗体産生能が改善される、水出し緑茶に含まれる主要カテキンである EGC について、自然免疫系で重要な役割を果たしているマクロファージに対する作用メカニズムを明らかにする。

ということらしい。番組でも同じように言っていたが、これではEGCGが悪者だと断言するに等しい。

EGCGの抗がん作用には、これまで多くの研究が発表されており、例えば『がんに効く生活』でシュレベールも、

緑茶:緑茶、特に深蒸し茶に多く含まれるカテキンの一種、エピガロカテキンガラート(EGCG)はがん細胞が隣接組織へ侵入する働きを抑制し、がん細胞に影響を補給する血管新生を抑制する。EGCGは各細胞の表面にある受容体(レセプター)をふさぐことによって、がん細胞が炎症性因子を介して送ってくる信号に応えることをできなくし、その結果、隣接組織への侵入も、腫瘍の成長に必要な血管の新生もできなくなる。この効果は、緑茶と大豆の”ファイトケミカル”を組み合わせることで、より際立ったものとなる。

と述べている。

物部氏の論文は査読付の雑誌に発表されたわけではなく、どうやら研究所内の広報らしい。こんな研究をやっていますよ、と言うレベルの話だと想像する。

もちろん、現状で科学的真実だとされているものは常に反論され、ひっくり返される運命にあるから、物部氏の研究が新しい真実を提供してくれるのかもしれないが、まだ研究中という段階だろう。

EGCGは、植物の中で特に茶に最も豊富に含まれているカテキンである。また強力な抗酸化活性を示し、がんを含む多くの疾患に対して治療効果を有するのではないかと言われている。

エピガロカテキン(Epigallocatechin、EGC)またはガロカテコール(Gallocatechol)は、構造中にカテキンを含むフラバノールの1種である。食物に含まれる抗酸化物質の1つである。
緑茶の健康作用の要因として知られるヒトのカンナビノイド受容体に対し、適度な親和力を持つ。

Wikipediaではこのように紹介されている。免疫機能はマクロファージの働きだけではないし、マクロファージはがん細胞と闘うわけではない。

風邪をひかないようにするには、水出し緑茶が有効かもしれないが、がん患者は、現時点までに知られた知見からは、EGCGを多く含んだ熱湯で淹れたお茶の方が良いと思うのだが、如何でしょうか。

掛川茶のときのように、また製茶業界が大々的な宣伝に使うでしょうね。

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