サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

今日の一冊(33)『糖質制限の真実』

膵臓がんの方は多くが血糖値管理に悩んでいます。抗がん剤をやりながら、ガンと闘う体力もつけなくてはいけないのに、血糖値管理でカロリー制限食を強制されたら、大変です。

この10年間で栄養学は大きく変化しています。真逆になっているのです。この10年間で、油についても糖質についてもたんぱく質についても、それまで常識だと思われていたことが軒並み打ち消され、正反対になりました。これが今の栄養学です。それを勉強せずに、あいかわらず糖尿病学会のお偉方の言うままに、カロリー制限食を指導している医師や栄養士が多いのです。

彼らの言うがままにしていると、がんとも闘えないし、血糖値も下がりません。不勉強な連中に命を預けるのは止めましょうよ。血糖値の管理だけを別の病院に変えれば良いです。

ということで、この本では、栄養学が10年間でどのように変わったのか、科学的根拠を示しながら分かりやすく解説しています。さらに実際に何をどのように食べれば良いのかまで指し示しています。

著者の山田医師は北里研究所病院糖尿病センター長として、多くの糖尿病患者に緩やかな糖質制限食=ロカボの考え方を普及させてきた方です。

かつて糖尿病の治療には、脂質制限が有効だと信じられていました。しかし今ではその意味は完全に消え失せました。脂質制限が無効だということは、アメリカの2015年版『食事摂取基準』にも書かれています。

2型糖尿病の治療食としては、2014年に『ランセット』という医学雑誌で特集されたものと、アメリカ糖尿病学会が2013年のガイドラインで認めた食事法が最新のものになります。両者が共通して推奨しているのは4つ。地中海食、DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension〔もともとは高血圧を防ぐための食事方法〕)、ベジタリアン、そして糖質制限食です。(カロリー制限食はない!)

2015年になり、日本の厚生労働省にあたるアメリカの政府機関は、約40年ぶりに『食事摂取基準』を改訂しました。その内容は、「食べるコレステロールは制限しません。食べる油も制限しません。なぜならば、それらを控えても心臓病の予防にも肥満の予防にもつながらないからです」というものでした。

さらに、日本糖尿病学会もまだそれを公式には認めていませんが、糖尿病患者の血糖管理法として、カロリー制限は間違っているのではないかといわれはじめています。

特に日本人の場合には、糖質制限のほうがいいということは、エビデンスレベル1の証拠が揃った上に、レベル2の観察研究においても糖質摂取の少ない群で死亡率が低いと報告されており、もう決して動かない事実と考えてよいでしょう。

カロリー制限には今のところ、エビデンス(科学的根拠)が伴っていないので、今後はエビデンスによって支えられている糖質制限食、あるいは前述の地中海食やDASH食などの食べ方を推奨する方向に変わっていく可能性が大きいと思います。

 

もしあなたの主治医がまだカロリー制限食を信じているとしたら、「先生、その根拠は何ですか?エビデンスはあるのですか?」と訊いてみれば良いでしょう。

私は最悪なときにはHbA1cが9.5ありました。緩やかな糖質制限食(ロカボ)に変えたらみるみる血糖値が下がってきて、薬も減らしました。今はHbA1cは6.0前後で行ったり来たりしています。

大事なのは食後の高血糖を避けること、そのためには糖質を制限する、取りすぎたと思ったら運動をする。

高血糖はまた、ガンのリスクを高めます。大腸ガンや肝臓ガン、すい臓ガンは、普通の人と比べて、糖尿病の人の発症率が1・8~1・9倍も高くなります。それ以外にも、子宮体ガンや乳ガンのリスクも高まります。 ガン細胞というのはブドウ糖だけをエネルギー源にします。そのために高血糖状態の体ではエネルギー源を取り込みやすく、増殖しやすいからと考えられます。

がん細胞にエネルギーを与えないためにも、血糖値の管理は大切です。

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