サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

今日の一冊(49)『あの世へ逝く力』

著者の小林玖仁男氏は、さいたま市中央区で国登録有形文化財の屋敷を利用して会席料理店「二木屋」を営んでいる。また、全国の伝統や風習をアレンジした歳時の飾りつけ(室礼)によるもてなしで知られ、郷土玩具研究家であり雛人形研究家でもある。

あの世へ逝く力

小林 玖仁男
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小林さんが間質性肺炎と診断され、早ければ二年半との余命宣告を受けて著した「死の前に整えたい気持ちの準備書」。

命の終わりを宣言されてからの11日間で「恐怖」を「覚悟」に変えるために起こした行動を記している。

キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』から、自分なりの死への旅の「行程表」を作り、鹿島神宮のパワースポットへ行き、セカンドオピニオンで別の医師の意見を聞き、占い師にも会う。

などの格言が並んでいる。とはいえ、やはり「逆転サヨナラホームラン」も偽らざる気持ちだと打ち明ける。

友人たちからの多くのことばに支えられたという。

圧巻は、博多の知人女性のことば。

良い友人に恵まれていますよね。

一方で、

まわりの人々の「絶対大丈夫!」「小林さんは長生きします」とか、「がんばれば必ず良くなります」「あきらめないで」という、前向きながらなんの根拠もない健康な人共通の励ましトーク。ありがたいのですが、どんどんなじまなくなってきています。

と書いている。分かる分かる。死を宣告された人へのことばって、難しいよね。

自分なりの死生観を持つことが決定的に大事、と小林さん。私も常々そう書いてきた。「幸福な死」を迎えることは難しいことではなさそうです。いまから「死」の瞬間がどのようなものなのか、楽しみです、と言った有名人がいたが、その気持ちもよく分かります。「長生きすることが本当に善なのか?」よく考えてみようよ。

人はみんな何かの原因で死ぬ。がんで死ぬのは、それほど悪い”何か”ではない。

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