このブログでも時々紹介している『がん治療の虚実』sho先生の初めての本です。
ブログ『がん治療の虚実』では、がん治療の科学的根拠を一般の患者にも分かりやすく丁寧に説明してくれます。これって結構難しいことなんですね。「科学的」にこだわれば専門用語や統計の話になる。難しいことを難しく説明するのは簡単ですが、難しいことをやさしい言葉で説明することは相当のエネルギーと深い理解がないとできません。
sho先生は、
私はがん治療医として、20年以上にわたりがん患者さんと接しています。また、勤務医としてできることに限界を感じ、NPO法人宮崎患者共同勉強会を設立してがん患者さんの不安や要望に正面から対応してきました。
本書では、実際にがん患者さんやその家族から寄せられる質問を厳選しました。その上で、ひとりのがん治療医として医学的妥当性を保ちつつ、患者さんの心情に寄り添ったアドバイスを綴っています。
と本書を上梓した動機を述べています。
- がんを告知された患者にとって、目の前が真っ暗で落胆することが多いでしょう。告知された当初は「何が分からないのか、分からない」状態です。
- 抗がん剤は本来、患者の苦しみを和らげるためのものです。耐えられない副作用に耐えてまで抗がん剤をやるのは本末転倒です。
- 代替医療は「絶対悪」ではないと考えています。「まだ別の選択肢がある」と患者が希望が持てることもある。
- がん治療だけに残りの人生やお金をつぎ込むのは懸命ではない。
- 治療だけの修行のような人生となるのは、あまりにももったいない。
などなど、患者会を主催していたsho先生ならではの、実践的な助言が豊富に載っています。
本の中の随所で「がんの患者会」や「がんサロン」に出かけて、サバイバーの方と触れあいましょう、と提案しています。同じ苦しみや悩みを抱えてきた先輩の経験が大いに参考になるからです。
主治医との円滑なコミュニケーションをとるために、困っていることや気になることを箇条書きにして(ここからがいい!)
- 事前に手紙として郵送しておく
- 受付けに手紙を渡しておいて電子カルテにスキャンしてもらう(主治医がうやむやにしにくくなる)
- 看護師や薬剤師に事前に渡しておく
を提案しています。そっか、今は電子カルテの時代だから、受付けにスキャンさせあておけば主治医も否応なく見ることになりますね。
また、たくさんの参考図書が紹介されているのも役にたちます。私のブログで紹介した書籍も多く載っています。
最近は東京支部もでき、月に1回の「東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)」も開催しています。