治験へのアクセスが良くなった
従来は、どこでどのような臨床試験が行なわれているのかは公表されることがありませんでした。そのため、次のような弊害が指摘されてきました。
- 治験に参加したい患者が情報にアクセスできない
- 試験が最終段階まで実施されない
- 治験の結果が研究実施者にとって都合の悪いネガティブな結果であった場合には論文化(公表)されない
- 都合のよいポジティブな結果が得られた場合のみ公表され、そうでない場合には公表されないため、これら臨床試験結果を用いた後向き研究(メタアナリシス)の結果も過大評価となる
そこで、2004年9月に、主要な医学雑誌の編集者の集まりである医学雑誌編集者国際委員会が「生医学雑誌への投稿のための統一規定を発表し、医学雑誌に臨床試験結果を投稿する際に探索的段階の試験等を除き、事前に試験情報の登録・公開を必須とすることを表明しました。つまり、事前に登録をしていないと論文を発表できないことになった。
日本でも2008年から登録制度が運用されることとなり、登録先として
が認定されています。ここに登録された情報を横断的に検索できるようにしたのが、前回紹介した二つのサイトです。
医学雑誌編集者国際委員会( ICMJE:International Committee of Medical Journal Editors)、WHOも登録先として治験・臨床研究登録機関( WHO PrimaryRegistry)を紹介しており、日本の上の3つの機関もJapan Primary Registries Network(JPRN)として、2008年にそのリストに追加されました。
つまり、登録先は日本国内でなくても良いということです。
その結果、二つの横断的ポータルサイトで検索できない臨床試験(治験)が生じることになります。
日本国内から海外の登録サイトを使う場合、そのほとんどは米国のClinicalTrials.gov. です。
ここには日本はもちろん、世界172ヵ国以上の臨床試験が登録されています。
こちらは日本のお馬鹿なサイトと違い、AND検索も絞り込みも可能で、使い勝手は良いですが、もちろん英語にしか対応していません。
試しに「膵癌」「(オプジーボ)ニボルマブ」で検索してみました。「pancreatic cancer nivolumab」を検索窓に入れて「Search」ボタンをクリックすると、
12件がヒットしました。すごいですね。世界では膵癌へのオプジーボの研究が進んでいます。(日本はどうしてる?)
□Include only open studies にチェックを入れると、「募集中」と「募集前」が10件あると分かります。
癌腫を指定せずに「nivolumab」だけで検索すると252件。「PD-1」なら347件です。免疫チェックポイント阻害剤の臨床試験が多数行なわれていることが分かります。