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医療と人工知能(AI)

将棋やチェスの世界で人工知能が勝ち続けて「王者」になって話題です。医療の分野でもIBMのワトソンのように、医師を補助する人工知能が注目されてきましたが、さらに、医者に代わり診断を下すAI医療機器「IDx-DR」が米国で初めて認可され、糖尿病網膜症を1分で判定できるようになっています。

米食品医薬品局(FDA)は2018年4月11日、人工知能(AI)プログラムを医療機器として初めて承認したと発表した。これは米IDx社が開発した「IDx-DR」で、眼底カメラで撮影された画像から糖尿病性網膜症の有無を判断する製品。糖尿病性網膜症は糖尿病患者で多く見られる合併症だが、眼科医以外では見逃さ…
米国で人工知能を用いた診断プログラムが初承認 - 日経メディカル

医療の分野では、これからもますますAIが活用されるようになることはまちがいありません。

人工知能(AI)の3度目のブーム

世界最初のコンピュータENIAC (1946)のわずか10年後には、人工知能(Artificial Intelligence)という言葉が決まり、1956〜1960年代)は「探索・推論の時代」といわれ、第一次人工知能ブームとなりました。

その後はブームを下火になり「冬の時代」と言われますが、1980年代には、通産省が570億円の予算で「第5世代コンピュータプロジェクト」を立ち上げ、エキスパートシステムの構築を目指します。これが第二次人工知能ブームです。

それもパッとせずにまた冬の時代になり・・・・

現在は2013年からの第三次人工知能ブームとなっています。この時代を「機械学習・表現学習の時代」として、計算機の能力の向上を背景にして、ウェブとビッグデータの発展と活用がされています。

医師の過重労働を援助する人工知能

がんのプレシジョン医療においては、次世代シーケンスによるエクソーム解析とリキッドバイオプシーの併用、将来的にはAI(人工知能)によるビッグデータを参照しての情報提供などが課題とされているが、

中村祐輔先生は、「医療の現場にも人工知能を」と提案されています。現場の医師の過重な負担を軽減するためには、

医療費を制限し、人的資源を制限するなかで、患者さんや家族への説明、種々の委員会への出席、書類作成と業務が年々増えているのである。日本の医療関係者はよく頑張っていると思う。しかし、現在のようなあり方では、まじめな医療関係者の心は燃え尽き、いい加減な人たちはプロトコール化した医療をさらに血の通わないものにし、患者さんや家族の不満が蓄積するだけだ。

人工知能の助けを借りる事ができれば、患者さんへの説明や会話が記録されるし、人的なエラーも回避できる。家庭用の小型のものでも、「イージーリスニングの曲をかけて欲しい」と言えば、好みの音楽を選曲してくれる時代だ。囲碁や将棋など人工知能は名人級の思考をすることができるのだ。どうして、医療現場で積極的な導入がないのか、不思議だと思う。

と疑問を投げかけています。

確かに、人工知能は医療現場における多くの問題を解決する可能性を秘めています。

人間がつくるアルゴリズムにバイアスはないのか?

しかし、人工知能のプログラムを作るのは人間です。アルゴリズムまで人工知能が考えてくれるわけではないのです。また、人工知能の学習に与えるビッグデータは、人間が選ぶのです。バイアスのかかったデータを学習した人工知能は、間違った判断をしかねません。人工知能には物事の「倫理」までを判断する能力はないのです。

スタンフォード大学の医師グループは、人工知能を医療分野に使うためには、これらのバイアスを理解しておくべきだと、今年3月に発刊された「New England Journal of Medicine(NEJM)」で述べています。

患者のヘルスケアをサポートするはずの人工知能のアルゴリズムが、医療費を節約するアルゴリズムで組まれていたらどうなるのか。あるいは、病院の収益を最大化するように組まれていたらどうか。

「機械学習システムのメカニズムを理解しないままでいること、それをブラックボックスのままにしておくことで、倫理的な問題が発生することになるでしょう」。彼らはそうした懸念を抱いている。

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