サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

サイモントン療法とは?(5)

カール・サイモントン博士

サイモントン療法の臨床試験

サイモントン博士らが開発したトレーニング・プログラムは、末期のがん患者の態度や心構え、さらには医学的治療の効果増強において、劇的な変化をみせました。

このプログラムに参加した患者の生存期間は、ほかの有名ながんセンターと比べて二倍も長く、同じ進行がんに罹った患者の平均余命に比べても三倍も長いことがわかったのです。この結果は1978年の国際がん学会で発表されました。

この研究の特徴は、長期の経過観察にもかかわらず、98%もの患者を追跡調査できたことです。一方で短所は、予算上の制約から科学的根拠とするために重要な、統計的無作為化と対照群を設定することができなかったことでした。

しかし、その厳密な比較対照試験は別の研究者の手で行われることになります。

シュピーゲルらの臨床試験

進行した乳がん患者を対象とした研究で、スタンフォード大学精神科シュピーゲル博士らが行った無作為化比較試験でした。

もともとこの研究は、サイモントン博士らのプログラムでのカウンセリングが生存期間に影響を与えるという主張に反論するために計画されたものでした。しかし、その結果は、シュピーゲル博士らの期待に反するものだったのです。

シュピーゲル博士らの設定したカウンセリング併用群の平均余命は36.6ヵ月であり、対照群では18.9ヵ月でした。同時に行ったサイモントン博士らの設定したカウンセリング併用群の平均余命は38.5ヵ月であり、ほかの治療施設から得たデータから計算した対照群の平均余命は18.0ヵ月でした。

サイモントン博士らの初期の研究の結果である、平均余命が二倍になることが、こうして証明されたのでした。

同様の研究は相次いで発表されています。

ジョーンズ・ホプキンズ大学のトーマスらは、30年もにわたる前向き研究の結果、次のような傾向を持つ人ががんになりやすいと述べています。

また、末期の乳がん患者での研究では、

という研究も報告されています。

早期からの緩和ケア

サイモントン療法とは、目的もアプローチの仕方も違いますが、2010年に、早期からの緩和ケアを受けたがん患者は余命が延びるという研究も発表され、大きな衝撃を与えました。

抗がん剤はいつまで続ければ良いのでしょうか。抗がん剤の「止めどき」の判断は難しいですね。「今のが効かなくなったら、次の抗がん剤。その次の・・・」と、なんとかもう少し延命したいと考えるのは当然ですが、その判断が本当に正しいのか。緩和ケアにいつ移れば良いのか。悩みは尽きません。抗がん剤の目的は、自覚症状の緩和と生活の質(QOL)の改善なかには、次の抗がん剤をやるためにも、今の抗がん剤の副作用に耐えているという、抗がん剤をやることが目的になってしまっている患者もいます。抗がん剤は、あくまでも治療目標を達...
緩和ケアと抗がん剤の止めどき - 残る桜も 散る桜ー膵臓がんサバイバーの記録

カウンセリングなどの精神的サポートによって、患者の病気に対する意識が変り、自分の置かれた状況を正しく判断して治療をするという点において、共通点があると思います。

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