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緩和ケアと抗がん剤の止めどき

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抗がん剤はいつまで続ければ良いのでしょうか。抗がん剤の「止めどき」の判断は難しいですね。「今のが効かなくなったら、次の抗がん剤。その次の・・・」と、なんとかもう少し延命したいと考えるのは当然ですが、その判断が本当に正しいのか。緩和ケアにいつ移れば良いのか。悩みは尽きません。

抗がん剤の目的は、自覚症状の緩和と生活の質(QOL)の改善

なかには、次の抗がん剤をやるためにも、今の抗がん剤の副作用に耐えているという、抗がん剤をやることが目的になってしまっている患者もいます。抗がん剤は、あくまでも治療目標を達成するための手段であるのに、手段がいつのまにか目的になってしまっている方もいる。

これからどう過ごしたいか、どのように生きていきたいか、という目標があって初めて、どういう治療が自分に必要なのかを考えるべきではないでしょうか。

抗がん剤は「苦痛に耐えて受けなければいけない治療」と思われがちですが、本来は、患者さんの苦痛をやわらげて、元気を取り戻すためにあるものです。その意味では抗がん剤は緩和医療のひとつでもあるのです。

「がん診療レジデントマニュアル」という研修医向けの本には、抗がん剤の使用目的は「がんの存在による自覚症状の緩和、生活の質(QOL)の改善が大きな目的となる」と書かれています。がんを治すことが主要な目的ではないのです。再発・転移したがんに対する抗がん剤は、延命効果と生活の質(QOL)の改善のためだということです。

言い方を変えれば、「抗がん剤でがんが治ることはない」ということです。

緩和ケアの延命効果

アピタル夜間学校のビデオ「抗がん剤は効くの?効かないの?」では、進行肺がん患者151名の臨床試験において、緩和ケアを受けた患者の生存期間中央値が受けない患者に比べて2.7ヶ月の延命効果があったことを紹介しています。

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世界保健機関(WHO)は早期からの緩和ケアを考え方を推奨しています。

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しかし現実は、「もう治療法がないから緩和ケアにいってください」と言われ、緩和ケア病院では「うちでは治療はできないから、治療を望むのなら退院してください」と言われるのが現実です。

「病は気から」を科学する』では、上に紹介された臨床試験で患者達が受けた緩和ケアの内容について、このように述べています。

緩和ケアの専門家としての彼女の仕事は、薬や治療の処方ではなく、話をすること。彼女がする質問は、死に直面している人たちがめったに尋ねられないものだ。回復の見込みについて、どの程度知りたいか。症状の緩和を選ぶか、それとも命を長らえたいか。どこで、どんなふうにして死にたいか。

緩和セッションでジャクソンと同僚たちが重点を置いたのは、患者のがんの病状ではなく、その個人的な生活、つまり、患者と家族が診断や治療の副作用にどのように対処しているかといったことだった。

ジャクソンはある膵臓がん患者について話してくれた。

その男性をピーターと呼ぶことにしよう。ジャクソンがピーターに会ったのは私の取材の前日、最新のスキャンで悪い知らせがわかったあとだった。

「がん専門医が四十分かけて、スキャン結果の説明を行い、そのあと、私が一時間、彼と話しました」と彼女は言う。がん専門医が伝えたのは、ピーターはさら化学療法を行っても効果が出る可能性は低いことだった。そして、ジャクソンの仕事は、ピーターが残りの人生をどう生きるべきか、話し合うことだった。

「彼の息子は半年後に結婚します。でも、結婚式まで生きていられるとは思いません」と彼女は言う。「国内のあちこちで暮らす子どもたちに、特に息子に、どう話すのでしょう」

患者の興味、価値観、家族環境を知り、人間として包括的に理解しないかぎり、仕事はできない、とジャクソンは言う。さらによい緩和ケアとは、人が死ぬ援助をするというより、むしろ生きる援助をすることだと説明する。患者がどんな人で、本人にとって人生とは何を意味するのかを見抜かなければならない。たとえば、ゴルフをすることなのか、昼メロを観ることなのか、それとも、元気に結婚式に出席することなのか。「それは、人それぞれなんです」

終末期だからこそ、よりよく生きるための援助をする。それが本来の緩和ケアなのです。

この試験の意味するところは重要です。WHOが推奨している早期からの緩和ケアの重要性を明らかにすることが試験の目的でしたが、一方で、標準的な抗がん剤治療によって命を縮めている患者が少なからずいることを明らかにしているからです。


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緩和ケアと抗がん剤の止めどき” に対して2件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    金魚さん。
    NHKで放映された、医師で僧侶で末期膵臓がんの田中雅博さんの最期を観ていても、「理想的な死に方」は難しいものだと感じました。
    やはり人間は、最期まであがき、悩むのが自然なのかもしれません。
    キュープラー・ロスの「死の受容」もみんながそのような段階を経るわけでもなさそうです。
    宗教学者の岸本英夫氏は『死を見つめる心』で、死の恐怖=自分が存在しなくなるという恐怖に打ち勝つのは並みやさしいことではないと告白しています。
    周囲はそれを見守ることしかできないのでしょうか。

  2. 金魚 より:

    今、私の大切な心の妹は、ターミナル期に差し掛かっています。
    遠くに住んでいる彼女の希望は、一日でも長く生きて、寝たきりでも良いから家族を見守ること、特にまだ幼い娘さんを気にかけていました。
    住まいは都会なので、緩和ケアの専門医も居るのですが、最初の主治医が腫瘍内科と緩和科を兼任しており、非常に対応に問題のある先生だったこともあり、彼女は緩和ケア医にかかるのは気が進まないようでした。
    結局、まだ抗ガン剤をやりたいと思っており、自宅近くの総合病院で入院しケアを受けています。本来ならば、残りの人生をどう生きるか・・・話し合うべき時期に、専門家が側に居ない。近くで顔を見て話せたら、泣きながらでも私が話をしたかもしれません。しかし、受け止める事も出来ないのに、家族でも無いものが中途半端に踏み入る事は出来ない部分、本当に残念ですが、最後まで闘うというのも彼女の選択なのだと見守っています。私の彼女に対する期待と、彼女の希望を混同しないことはとても難しく、辛いですね。
    きっと全国に、こういう選択に悩み苦しむサバイバー仲間と家族がたくさんいるんだと思っています。

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