サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

膵臓がんの術前化学療法、どちらがよいか?

膵臓がんの手術前に化学療法や放射線療法を行なって、腫瘍の縮小や予後の改善を目指す例が増えていますね。

術前に化学療法などの「導入療法」を行なう場合、 ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法と FOLFIRINOX併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のNEOLAP試験の結果が、スペインのバルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表されました。

導入療法とは、固形がんの場合は、手術や放射線治療など他の治療法に先行して抗がん剤による化学療法を行う方法です。導入療法の目的は①強力な化学療法を先行することによって腫瘍の退縮を図り、その後の根治治療である手術や放射線治療の治療成績を高める、②導入療法によって腫瘍が極めて退縮した場合は手術を避け、放射線で根治を図り、機能温存を図る、③すでに存在すると考えられる微小な遠隔転移細胞を根絶する等です。

術前に、投与するのは、nab-パクリタキセル/ゲムシタビンか、FOLFIRINOXが良いのかを確かめる試験です。

NEOLAP試験では、導入化学療法としてnab-パクリタキセル/ゲムシタビンの投与を行い、その後にnab-パクリタキセル/ゲムシタビンを継続して投与する場合と、FOLFIRINOXに切り替えて投与する場合では、切除が可能になる率(コンバージョン率)に差がない可能性が示された。

コンバージョン率 (切除が可能になる率)

全生存期間(OS)中央値はnab-パクリタキセル/ゲムシタビン群17.2ヶ月に対して、FOLFIRINOX群 22.5ヶ月、FOLFIRINOX群で死亡(OS)のリスクを27%減少するも両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。

一方で、コンバージョンを達成した患者に絞ると、 全生存期間(OS)中央値は、

コンバージョンを達成した患者群で死亡(OS)リスクを55%統計学的有意に改善した。

最強と言われるFOLFIRINOXでも、nab-パクリタキセル/ゲムシタビン群でも統計的に有意差はないという結果でした。しかし、手術ができるようになると全生存期間は2倍ほどになることが示されました。
切除不能な局所進行膵管腺癌(PDAC:pancreaticductaladenocarcinoma)に対する導入化学療法としてnab-パクリタキセル/ゲムシタビンの投与を行い、その後にnab-パクリタキセル/ゲムシタビンを継続して投与する場合とFOLFIRINOXに切り替えて投与する場合では、切除が可能になる率(コンバージョン率)に…
切除不能局所進行膵癌のコンバージョン率はnab-パクリタキセル/ゲムシタビンとFOLF... - がんナビ
モバイルバージョンを終了