サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

膵臓がんにゲルソン療法は危険です。

がん患者に人気のあるゲルソン療法

がん患者の中には、ゲルソン療法に関心のある方、ゲルソン療法をやっておられる方も多いのでしょう。

済陽式や星野式のゲルソン療法などは結構人気があるようです。『今あるガンが消えていく食事』という済陽高穂氏の書籍の帯には「膵臓がんが1/3に縮小した」と書かれています。済陽氏は、その後も同じ内容の本を、手を変え品を変えて出版し続けています。

ゲルソン療法は厳格な食事療法です。コーヒー浣腸、大量の野菜ジュース、塩分は禁止などを厳格に守るように指導されます。私としては、コーヒー浣腸や自分のおしっこを飲むことにはとても抵抗があります。ですから、ゲルソン療法にはほとんど関心を抱いていませんでした。

しかし、シュバイツアー博士が激烈に推奨している方法とはどんなものかと興味はありました。

膵臓がんの術後2年目ころでしたか、試しにとジューサーを買ってきて、人参とレタスのジュースを作って飲んでみました。500ccのジュースを一回で飲み干したのですが、数時間後に気分が悪くなり、下痢と悪寒がする。早々にベッドに潜り込んで寝てしまいました。それ以来ジューサーも埃をかぶったままです。

化学療法を受けたことのある患者には、ゲルソン療法は危険

マックス・ゲルソンの書いた『ガン食事療法全書』は読んでいませんが、ゲルソンの娘であり、シュバイツアー博士の主治医でもあったシャルロッテ・ゲルソンの『決定版 ゲルソンがん食事療法』は丁寧に読みました。

ゲルソンは第二次大戦中の(抗がん剤のなかった頃の)人物ですから、それ以降の知見に合わせて出版したという触れ込みです。

この本では、ゲルソン療法の基本を解説したのち、「第11章 ガンのためのゲルソン療法(基本編)」、「第12章 化学療法中の修正治療」と続きます。

決定版 ゲルソンがん食事療法

シャルロッテ・ゲルソン, モートン・ウォーカー
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そして、12章には驚くようなことが書かれています。

どの程度であれ、また最後に受けた抗がん剤治療からどんなに時間が経っていようとも、化学療法を受けたことのある患者が、基本のゲルソン療法のまま忠実に実行することは大変危険である

一度でも抗がん剤をやったがん患者は基本のゲルソン療法はやってはいけないというのです。抗がん剤をやったことのないがん患者を探すのは、白いカラスを探すようなものでしょう。

そこで修正版のゲルソン療法が登場します。ひまし油は禁忌だ、人参ジュースは作用が強いから一日に3杯以上飲まないように。私が人参ジュースで寝込んだのは1年前の抗がん剤のせいだったのか!?

このような代替療法は、とてもじゃないが信じられませんね。

膵臓がんにはゲルソン療法は効果がないと、ゲルソンの娘

12章の最後の段落には、次のような記述があります。

膵臓がん患者で、以前に化学療法を受けたことがある場合には、残念ながらゲルソン療法でも良い結果が出せない。抗がん剤で膵臓があまりに激しく損傷を受けるからである。

第16章「治った人たち」に「膵臓ガンが消えて15年」と紹介されているエイニーさん(46歳)の場合、1985年当時は膵臓がんのステージ4に有効な抗がん剤はなかったので、抗がん剤は投与していません。そしてゲルソン療法でがんが完全に消失して、15年間生存していると書かれています。彼女の場合抗がん剤の治療をしていなかったのでゲルソン療法が有効だったと言いたいのでしょう。

現在は膵臓がんに有効な抗がん剤は、不十分ではあっても、ジェムザールやアブラキサンなどいくつかあります。

これらを止めて、ゲルソン療法だけで治療をするのは勇気の要ることです。

抗がん剤をやったことのある膵臓がん患者には、ゲルソン療法は危険なだけでなく、効果は望めないと、ゲルソン療法の権威が言っているのです。

済陽高穂氏の「日本人に合わせたゲルソン療法」もインチキです。糖質の多いニンジンをジュースにして大量に飲むなど、血糖値は跳ね上がるのではないでしょうか。体も冷えます。

他のがんはともかく、少なくとも膵臓がんの患者はゲルソン療法には期待しない方がよいです。ゲルソンの娘が「効かない」と太鼓判を押しているのですから。

しかし、ゲルソンの主張したこと、がんの原因は食事を初めとする生活および環境汚染にあるとの考えは正しいと思います。マクガバンレポートに代表されるように、アメリカでも日本でも新鮮な野菜をたくさん食べることの必要性は、ゲルソン療法を信じるかどうかにかかわらず、多くの人々が認めていることです。

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