サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

「あきらめる」と「がんばらない」

DSC01653_4_5台風一過、風が強くて空は不気味です。


超音波検査で膵臓に異常が見つかり、CT検査で膵臓がんにほぼまちがいないと告知を受けたとき、意外と冷静だった。

頭の中が真っ白になるとこともなく、「今日やっておくべきことは何か?」「次は何をするべきか」ということばかりを考えていたように思う。

つまり、膵臓がん? ま、なったものはしょうがないよな。

5年生存率が5%? 最悪だけれどその5%に入れば良いのじゃない? と漠然と考えていた。

どうして俺が?とか、よりによって、とかはまったく考えることもなかった。

現実を素直に受け入れる、そして幸いにも手術という選択肢があるのだから、あるいは選択肢はそれしかないのだから、悶々と悩む必要もない。私としては吹っ切れていた。

「がんサポート」での鎌田實氏と順天堂大学病院の小林弘幸教授の対談『「あきらめた」からこそ、生きる力が湧いてくるのだと教えられた』を読んで、あらためて私のそうした気持ちの有り様の大切さを確認した。

順天堂大学病院で6年半待ちの超人気「便秘外来」を開設している、外科医の小林弘幸さんが昨年出した、『自律神経を整える「あきらめる」健康法』が話題になっている。『がんばらない』という処女作を持つ鎌田さんの考え方と、小林教授の「あきらめる」健康法は通底しており、2人は意気投合し語り合った――。
「あきらめた」からこそ、生きる力が湧いてくるのだと教えられた 小林弘幸 × 鎌田 ... - 

小林 長年がん患者さんを診てきて思うのは、がんになっても前向きに生きることができる人は、なったものはしょうがないという「あきらめ」がある。なぜがんになってしまったんだろうと考え込んでしまう人は、前向きに生きられない。そんな感じがします。

という小林教授は、高校生のころ膵臓がんで母を亡くしている。

「あきらめる」は「諦める」であるが、本来は「明らめる」である。物事の道理を明らかにすること、そうすれば次の一手がより明確になる、そうしたとらえ方ができる。「何故俺が」とか「あいつのせいで」というようなネガティブな考えは、交感神経と副交感神経のバランスを壊し、それが長期間続くと病気になる。

小林教授の著書『自律神経を整える 「あきらめる」健康法』には対談で語られた内容がより詳しく紹介されている。

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自律神経は免疫系とも深く関わっている。交感神経と副交感神経のバランスが良いときが、一番免疫力の高い状態である。

ネガティブな感情を「あきらめて」、生きることを「あきらめない」ことが、がん患者にとっても大切なことだ。

がんと戦うためには、がんになったことや再発しないだろうか、いつまで生きられるのだろうかというふうなあれこれの妄想は「あきらめ」て、自律神経のバランスを整え、少しでも免疫力を高めることを考えた方が良い。

そのためには、一つには呼吸法。唯一「呼吸」だけが自律神経をコントロールすることのできる手段である。

「心の平静」とは結局は交感神経と副交感神経のバランスが良い状態のことである。深呼吸をするだけで末梢血管の血流が正常になり、栄養も酸素も、免疫系のリンパ球も全身の細胞に行き届くようになる。瞑想をすることで皮膚温度が高くなるのは、末梢血管の血流が活発になるためである。

「呼吸法」と「瞑想」。がん患者は、ややもするとすぐに結果を求めたがり、魔法の新薬や一発大逆転のホームランを求めてサプリメントや食事療法に過大な期待を抱いたりする。

しかし、心の平安(メンタルな部分)や運動を無視して、他の代替療法に血道を上げても芳しい効果は得られないと思う。

もちろん、これで確実にがんが治る(ここまで言っちゃえば安保徹氏や福田稔氏と同じになる)とは保証できないが、自分でできる代替療法のベースであることはまちがいない。

「明らめる」からこそ、「諦めない」がんとの闘いができるのです。これは私が膵臓がんと闘う姿勢でもあった気がします。

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