アビガンの承認が見送られたとのことです。
富士フイルムホールディングスの抗インフルエンザ薬「アビガン」について、厚生労働省の専門部会は21日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認するかどうかの判断を見送り、継続審議とすることを決めた。現時点ではアビガンの「有効性を明確に判断することは困難だ」とした。
以前にこちらの記事でも書いていますが、
世界保健機関(WHO)が実施した抗ウイルス薬レムデシビルの臨床試験で、レムデシビルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡率改善に対する効果は認められなかったとする結果が公表されました。 WHO主導のSolidarity試験(グローバル試験)で死亡率の低下につながらなかった。 製造元のギリアド・サイエンシズ社は「厳格な査読を経ていない」論文だと反論もしています。それに先立って、アメリカ政府機関の臨床試験では、新型コロナウイルス患者の回復に要する時間が4日間短縮されたとされるデータが示されています... WHO:レムデシビルの有効性示せず - 残る桜も 散る桜 |
- 軽症のコロナウイルス感染者に対する臨床試験で、 PCR 検査で陰性になるまでの期間が2.8日短縮された。これにどれほどの臨床的な価値があるのか?
- アビガンの企業治験は、医者は偽薬か本物かを知っている単盲検比較試験です。
- 主要評価項目は、ウイルスの陰性化するまでの期間とともに、症状(体温・酸素飽和度・胸部画像)の軽快も含まれています 。
- 偽薬(プラセボ)と知っている医者の、症状への判断にバイアスがかかる可能性がある。
などを指摘しておきましたが、案の定、
厚労省によると、21日に開いた薬事・食品衛生審議会医薬品第2部会は、「現時点で得られたデータからは有効性を明確に判断することは困難」とした。会社側による治験が、どの患者にアビガンを投与したかを医師が把握して行われる「単盲検試験」だったことの影響などを議論したという。
とのことで、私の指摘どおりの理由で「継続審議」となった。
政治の影がチラチラしていたので心配していたが、サイエンスに基づいて正しく判断されたようです。
ワクチンも同様ですが、新型コロナに対する有効な薬がない現状で、「なんでもいいから使える薬を」との思いは分かりますが、薬害エイズ事件などもありました。
慎重になるべきでしょう。
海外でも治験が進んでいるようなので、しっかりとしたデータを揃えて再挑戦してほしいものです。
しかし、富士フィルムはどうして単盲検比較試験などで治験をしたんだろう? 二重盲検法では自信がなかったのか?