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WHO:レムデシビルの有効性示せず

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世界保健機関(WHO)が実施した抗ウイルス薬レムデシビルの臨床試験で、レムデシビルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の死亡率改善に対する効果は認められなかったとする結果が公表されました。

  • WHO主導のSolidarity試験(グローバル試験)で死亡率の低下につながらなかった。
  • 製造元のギリアド・サイエンシズ社は「厳格な査読を経ていない」論文だ

と反論もしています。

それに先立って、アメリカ政府機関の臨床試験では、新型コロナウイルス患者の回復に要する時間が4日間短縮されたとされるデータが示されています。トランプ大統領も投与されたのでしたね。

アビガンも注目されています。 こちらは先に藤田医科大学を中心とした全国47医療機関で実施した臨床試験によって、有意差が証明できないと発表されていました。

ところが製造元である富士フイルム富山化学は治療効果が証明できたとして、10月に承認申請をしています。

軽症のコロナウイルス感染者に対する臨床試験で、 PCR 検査で陰性になるまでの期間が2.8日短縮されたとされています。

一般的に言って、サプリメントなんかの代替療法でも同じですけども、臨床試験の結果はこのように正反対の結果が出ることがよくあります。

そうした場合、その薬の効果は、仮に有効性があったとしてもその有効性は微々たるもので、あっと驚くような画期的な効果は期待できないことが多いです。

新型コロナウイルスに対して有効な薬は少ないですから、レムデシビルやアビガンが実際の臨床でで使われることはやむを得なでしょう。

しかしアビガンでもそうですが、症状の軽い患者が2.8日早めに陰性になることに、どれほどの臨床的な価値があるのか疑問です。

また、この富士フイルム富山化学の臨床試験は、 ランダム化プラセボ対照単盲検比較試験です。つまり被験者を実際の薬を投与した群とプラセボ(偽薬)を投与した群をランダムに割り付けますが、被験者に対しては投与された薬が実薬かプラセボかは知らせず、しかし試験を実施した医師には実薬かプラセボなのかを知らせる、そういう試験方法です。

患者は自分の飲んでいるのが「期待された新薬」だと知ると、なんとなく効果があるように感じてしまう現象を「プラセボ効果」といいます。また医師がそれが実際の薬なのかプラセボなのかを知っていると治療効果を判定する時に先入観にとらわれてしまう可能性があります。

この臨床試験の主要評価項目は、ウイルスの陰性化するまでの期間とともに、症状(体温・酸素飽和度・胸部画像)の軽快も含まれています 。医師が実薬なのかプラセボなのかを知っているのですから、この判断に バイアスがかからないだろうかと懸念がされます。

多くの臨床試験ではランダム可かつ患者にも医師にもプラセボなのか実薬なのかを知らせない二重盲検試験を行うのが通例です。 どうして富士フィルム富山科学がこうした試験方法を選択したのか、明確には説明されておりません。

新型コロナウイルスに対するワクチンの開発も、世界中で様々な企業がしのぎを削っていますが、それに政治的な思惑が絡んで来ています。

中国が開発したワクチンが開発途上国に無償で提供されるのだとか、それは中国の優位性を宣伝するためではないのかと言ったことなどなど、またアメリカのトランプ大統領も2週間先に控えた選挙を意識して、ワクチン開発がされればコロナなんかは強くないなどと宣伝をしています。

安倍前総理が「5月中に承認する」と息巻いていたアビガンも、申請されれば3週間で結果を出す予定だと言われていましたが、さすがにそれではマズイとなったのか、一ヶ月以上の審査期間を想定しているようです。

アビガンやレムデシビル、新型コロナワクチンにしても政治的な思惑はどけておいて、純粋に科学的に判断してほしいものです。

我々がん患者としては、さまざまな場面で臨床試験の結果を参考にすることもあるわけですが、こうした場合に、対象の患者数が多ければ結果に有意差が出やすいだとか、主要な評価項目をどうするかだとか、二重盲検法なのかそうではないのか、そういった統計手法、臨床試験の設計の方法によって結果は左右されるのだということを知っておくことも大切です。

臨床試験の結果は万能ではありません。


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