サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

がんと無力感-心の力


心理的なストレスは、がんを育てる環境に大きな影響を与える。ストレスは炎症反応を促進し、がん細胞は炎症反応を利用して増殖する。多くのがん患者が、がんの告知を受ける数ヶ月から数年の間に強いストレスを感じた時期があったという。私にもその例があてはまる。膵臓がんが見つかった数年前から、相次いで義父と義母の介護をせざるを得なくなった。

ラットにがん細胞を接種して電気ショックを与える実験が、レバーを押せば電気ショックを避けることができるグループと、避ける手段のなかったグループ、それに電気ショックを与えられなかったグループで行われた。腫瘍の克服率が最も高かったのは、電気ショックを与えられなかったグループではなく、レバーを押せば避けることができたグループだった。避ける手段のないグループは、一番成績が悪かった。

つまり、強いストレスに曝されてもそれを克服する手段があれば、がん細胞に影響は与えられないが、手段がなく、継続的な「無力感」に陥ったときには、がん細胞が増殖するには好都合な環境が作り出されるようなのだ。

では、逆に心が穏やかであればがん細胞の成長を抑えることができるのであろうか。答えはYESである。たとえばイアン・ゴウラーの例がある。彼の著書『私のガンは私が治す―ガンの予防と対策』に詳しく書かれているが、重度の骨肉腫で余命数週間と宣告されたイアンは、「これ以上失うものはなにもない」と考え、集中的な瞑想を行った。数ヶ月の間、毎日3回、1時間の瞑想を徹底した食事療法と作に実践した。そして、彼の骨肉腫は完全に消失した。これ以外にも多くの同じような報告がある。

私のガンは私が治す―ガンの予防と対策

イアン ゴウラー
7,010円(05/03 06:52時点)
Amazonの情報を掲載しています

ストレスは人体を”緊急時に対応”させるために、炎症反応を活性化させるホルモンを放出する。そして緊急性の低い機能、つまり消化、損傷した組織の修復、免疫システムなどの機能を低下させ、それによって腫瘍が成長できる環境ができる。現在は慢性的な、長時間のストレスに曝されやすい社会である。当然がん細胞が喜ぶ環境も長時間続くことになる。

無力感に陥らず、強いストレスにも耐性を持つように自分を変えることはできるし、がんの告知を受けたら「変えるべき」である。なぜなら、治りたければ、心の平穏が保たれるようにすべきであるから。

私が実践してきたのは、まず最初にはサイモントン療法であった。書籍『サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法』に付いてきたCDを携帯プレーヤーに転送して、時間があれば絶えず聞いていた。寝る前には必ず効いて瞑想を行った。

新装版 サイモントン療法 ―治癒に導くがんのイメージ療法―

川畑伸子
2,750円(05/03 06:52時点)
Amazonの情報を掲載しています

サイモントンのサイトからもいくつかのCDを追加で購入して聞き続けた。また、カバットジンの『マインドフルネスストレス低減法』からも多くの有益なものを学んだ。

モバイルバージョンを終了