サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

粒子線治療は保険適用になるのか?

来年の診療報酬改定時に、粒子線治療の先進医療から膵臓がんなどは外れてしまうかもしれない。

8月9日の「粒子線治療は効果があるのか?」の続報です。

日本放射線腫瘍学会が厚生労働省の「第33回先進医療会議」に提出したパワポ資料がこちらにあります。

前回の診療報酬改定時に、

と指摘されて、昨年の9月から慌ててデータを集めて解析を行ったようです。しかしすべてが後ろ向き研究であり、核施設ごとのプロトコルも統一されていないので、データを集めて解析しても厳密な統計的分析に耐えるものになるはずもありません。

X線治療等他の既存治療が安全にできる病態においては、後ろ向き研究の限界で、過去の報告との背景因子の差を揃えることが難しく、既存治療との比較結果の解釈に困難をきたした。

と、言い訳をしている状態です。

今回解析された疾患は、小児腫瘍、骨・軟部腫瘍、頭頸部腫瘍(扁平上皮癌を除く)、既存治療のない肝細胞癌、既存治療のない非小細胞肺癌、前立腺癌のみです。それ以外の疾病に関しては、

今回、既存治療との比較ができなかった疾患・病態に関しては、今後も「限局性固形がん」への先進医療Aとして各施設毎に症例を集積しても、評価に耐えるデータの蓄積・解析が困難で、保険収載には至らない可能性が高いと思われた。
一方で、それらの中には、前向きに検討するべき見込みのある結果もあることから、疾患を絞って、同一プロトコールに基づいた前向きの多施設共同臨床試験をすべきと思われた。

と総括しています。

膵臓がんに関しても、「評価に耐えるデータの蓄積・解析が困難で、保険収載には至らない可能性が高い」のではないでしょうか。つまり、来年からは先進医療として粒子線治療(陽子線、重粒子線)ができなくなる可能性が高い。

国内で14施設、計画・建設中のものを入れると18施設も作ったのは良いが、ハコモノありきで、真っ当な評価をやってこなかったツケが回ってきたということでしょう。そもそもの目的が「医療イノベーション」による「経済成長戦略」であり、患者のことを考えて始めたのではないから、当然の結果でしょう。がん患者の「治りたい」希望を利用して「経済成長=アベノミクス」だなどと、ふざけている。

いっそのこと、300万円の患者負担などさせないで、希望者には臨床試験として無料で実施し、統一されたプロトコルのもとでデータの評価・解析を行ったらどうか。

 

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