サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

今日の一冊(15)『明日この世を去るとしても・・・』

明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい

樋野 興夫
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がん哲学外来理事長の樋野興夫さんの新著です。『明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい

がん哲学外来とは、がん哲学外来のホームページには

多くの人は、自分自身又は家族など身近な人ががんにかかった時に初めて死というものを意識し、それと同時に、自分がこれまでいかに生きてきたか、これからどう生きるべきか、死ぬまでに何をなすべきかを真剣に考えます。
一方、医療現場は患者の病状や治療の説明をすることに手一杯で、がん患者やその家族の精神的苦痛までを軽減させることができないのが現状です。 そういった医療現場と患者の間にある「隙間」を埋めるべく、「がん哲学外来」が生まれました。科学としてのがん学を学びながら、がんに哲学的な考え方を取り入れていくという立場です。

と書かれています。

約半数のがんは「治る」時代になりました。しかし、それでもがんの告知を受けると「がん=死」という考えが脳裏をよぎります。ましてや治癒の難しい膵臓がんになれば、なおさらです。がん患者の約3割がうつ状態になると言われています。

「希望を持って、がんばれよ」「きっと抗がん剤が効くはずだ」などと励ましたり応援したりしても、一時的な効果しかありません。独りになるとまた悶々と悩んだり落ち込んでしまいます。

結局は本人の考え方、人生や死に対する考え方を変えるしか、このうつ状態から向け出すことはできません。そのためには「言葉の処方箋」が必要だというのが樋野興夫先生の考えであり、がん哲学外来を創設された目的です。

例えばこのような言葉の処方箋が並んでいます。

このブログでも「がんのことは最後に考える」とか、「なんとかなるものはなんとかする。なんともならないものは成り行きに任せる」と書いてきましたが、同じ意味ですね。自分にコントロールできないことは考えても疲れるだけ。得られるものは極めて少ないのです。

そして、

「命よりも大切なもの」って何でしょう。それはこの本をじっくりと読んで考えてみてください。膵臓がんの患者は遅かれ早かれほぼ全員が死を迎えます。治ることは非常に希です。だから「命が一番大事」と考えているかぎりは、いつまで経っても解決しません。”人生から期待されている”自分の役割に気付くこともありません。

膵臓がんのブログ友の方は、自分の症状、抗がん剤の苦しさ、それへの対処法などを書くことで、同じ病気の方になにがしかの役にたつのでは、として書いているのだと思います。自分以外の人に関心を持つというのは、そうした些細なことで良いのです。あるいは、これまでは無関心だった地域の行事に関わってみる。社会的な問題に興味を持って参加してみるというようなことです。

膵臓がんになったからと、自分の命の心配ばかりしていてはストレスも溜まるし、反って免疫力が落ちると思いますよ。自分よりもさらに困っている人のために働きましょう。

樋野興夫先生の著作はどれも似たようなことを書いてあるのですが、『がんと暮らす人のために―がん哲学の知恵』もお勧めです。

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