サイトアイコン 残る桜も 散る桜ー膵臓がん完治の記録

医療には唯一の正しい答えがあるのだろうか?

医療において、患者の意志決定はどのようにされているのか、治療において唯一の正しい答えはあるのだろうか。

治療をすべきかどうか、いくつもの治療法があり、それぞれにリスクとベネフィットがあるとき、患者はどのようにして選択しているのかを、ルポルタージュした本です。

決められない患者たち

Jerome Groopman MD, Pamela Hartzband MD
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EBMに従うのが最良の医療だといっても、

エビデンスが常に「最善」とは限らない。いろいろなバイアスがある。患者の状況も常に変化し、全てが把握できるわけではない。医師の技能もピンからキリである。要するに、医療には多くのグレーゾーンがあり、将来起こり得る状況を予測することは難しい。

科学的根拠に基づいた医療とは、「科学的根拠」「患者の状況」「医師の臨床技能」「患者の価値観」の4要素を考慮し、より良い患者ケアに向けた意思決定を行うための行動指針』であるのだから、科学的根拠以外の要素も考慮するため、ときに科学的根拠が示す結果とは異なる判断をすることもあり得る、のです。

患者の価値観もときによって異なる。高血圧の薬を飲むことを拒否する「自然主義派」の患者でも、がんともなると手術や放射線も拒否しないで最善の治療を受けようとする。

患者の多くが、治療法の意志決定に際して「隣人のアドバイス」を最も重視していると統計的には示されている。「〇〇でがんが治った」などもこれに含まれるだろう。これを「可用性バイアス」と言うのだが、その治療法で失敗した多くの患者がいたとしても、成功した一人の患者のニュースが記憶に残り、治療の意志決定に影響する。

著者は、多くのエピソードを説明した上で、賢い患者となるための「結論」として次のように述べている。

賢い患者になるための指針である。

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