スポンサーリンク

医療には唯一の正しい答えがあるのだろうか?

LINEで送る
Pocket

医療において、患者の意志決定はどのようにされているのか、治療において唯一の正しい答えはあるのだろうか。

治療をすべきかどうか、いくつもの治療法があり、それぞれにリスクとベネフィットがあるとき、患者はどのようにして選択しているのかを、ルポルタージュした本です。

決められない患者たち

決められない患者たち

Jerome Groopman MD, Pamela Hartzband MD
5,690円(08/03 14:35時点)
Amazonの情報を掲載しています

EBMに従うのが最良の医療だといっても、

Image_001

エビデンスが常に「最善」とは限らない。いろいろなバイアスがある。患者の状況も常に変化し、全てが把握できるわけではない。医師の技能もピンからキリである。要するに、医療には多くのグレーゾーンがあり、将来起こり得る状況を予測することは難しい。

科学的根拠に基づいた医療とは、「科学的根拠」「患者の状況」「医師の臨床技能」「患者の価値観」の4要素を考慮し、より良い患者ケアに向けた意思決定を行うための行動指針』であるのだから、科学的根拠以外の要素も考慮するため、ときに科学的根拠が示す結果とは異なる判断をすることもあり得る、のです。

患者の価値観もときによって異なる。高血圧の薬を飲むことを拒否する「自然主義派」の患者でも、がんともなると手術や放射線も拒否しないで最善の治療を受けようとする。

患者の多くが、治療法の意志決定に際して「隣人のアドバイス」を最も重視していると統計的には示されている。「〇〇でがんが治った」などもこれに含まれるだろう。これを「可用性バイアス」と言うのだが、その治療法で失敗した多くの患者がいたとしても、成功した一人の患者のニュースが記憶に残り、治療の意志決定に影響する。

著者は、多くのエピソードを説明した上で、賢い患者となるための「結論」として次のように述べている。

  • 医学は不確実な科学だ
  • ある特定の医療行為が患者の人生にどのような影響を与えるかを予測できるはずもない
  • 医療のグレーゾーンでの選択は、単純でもなければ明快でもないことが多い
  • したがって、患者と医師の両方によって、微妙に調整された意志決定がされなければならない
  • ガイドラインという作業マニュアルに従って医療を提供するのが望ましいという医師や専門家がいるが、それは「患者中心の医療」ではなく「システム中心の医療」である
  • どの治療を望むかという点で、最大限主義者と最小限主義者がいる
  • 自然主義指向と新しい革命的な治療法が最善とする技術主義指向の患者がいる
  • 信じる者と疑う者というカテゴリーも存在する
  • 自分がこれらのカテゴリーのどれに当てはまるのかを検討した上で、熟考のプロセスを見直すことをお薦めする
  • 治療による利益よりも害のほうを重視する患者には「隣人のアドバイス」、親戚や友人の経験やメディアやインターネットでの経験談=「可用性バイアス」も指向を決定する最大のファクターになる
  • しかし、可用性バイアスの害を避けるためには、治療のリスクと利益に関する数字、治療必要数と有害必要数といった情報をたくさん集めて、その中に他人のエピソードを落とし込んで考えることが最善である
  • 意志決定において自分がどの程度の自律性と主導権を発揮したいかも考慮しておくべきである。主治医との信頼関係を構築し、それを確かめながらどの程度の主導権を発揮すれば良いのか、軌道修正していくことが理想である

賢い患者になるための指針である。


がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


このブログの関連記事

  • 良寛の旅 妻の里での法要のため土日にかけて新潟に行ってきました。 昨日までは肌寒いほどの気温だったそうですが、当日は30度を超える真夏のような暑さでした。しかし都会の暑さとは違います […]
  • 癌研の定期検査癌研の定期検査 約4ヶ月ぶりの癌研での定期検査。といっても血液検査だけです。 腫瘍マーカーの値はCEAが3.8と、変化なしで正常値の範囲内です。CA19-9は21.1と、前回の31.2から大きく […]
  • 川崎医科大 膵臓手術の新技法開発川崎医科大 膵臓手術の新技法開発 難しい膵頭十二指腸切除術で、合併症を無くす画期的な手法を15年かけて考案。 山陽新聞 […]
  • 今日の一冊(30)『病気の9割は歩くだけで治る』今日の一冊(30)『病気の9割は歩くだけで治る』 がん患者は、ともかく歩きなさい、と言い続けてきた。長尾和宏氏の『』は、町医者の立場から、多くに患者に歩くことを進め、症状が改善した例を挙げて歩く効用を説いている。 […]
  • 電動式自転車のバルブを交換する電動式自転車のバルブを交換する 電動式自転車が納品されてきました。 YAMAHAのPAS City […]
  • 永平寺が反原発シンポジウムを開催永平寺が反原発シンポジウムを開催 道元が開山した曹洞宗大本山永平寺が、原発問題を考えるシンポジウム「いのちを慈しむ~原発を選ばないという生き方~」を開催すると報じられています。脱原発に対する議論が巻き起こる中、曹 […]
  • 今日の一冊(154)「がんとたたかう最高のヨガ」今日の一冊(154)「がんとたたかう最高のヨガ」 がん研有明病院の副院長ら医師7名が推奨しているがんとヨガの本です。 がん治療中の患者さんにとって、瞑想やヨガなどのセルフケアが有効であるというエビデンスが、近 […]
  • 定期検査 術後4年目 再発・転移なし定期検査 術後4年目 再発・転移なし 今日はがん研での定期検査でした。これで満4年目になります。造影CTと血液検査。主治医の先生がヨーロッパに出張のため代診の若い先生でした。 結果はご覧の通り、血液検査での腫瘍マーカ […]
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です