膵臓がんで治療に使うことのできる抗がん剤は限られています。免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などの多くは、健康保険で使うことができません。
進行がんで発見されることも多いので、膵臓がんこそ初期からの緩和ケアが必要だと言えるでしょう。
告知されてからすぐに緩和ケアを始めたグループと、3ヶ月後に開始するグループとを比較すると、前者では1年生存率が良かったという研究があるほどです。
痛みが取れれば長生きできる
告知されて間もない方へ
膵臓がんの腫瘍が存在する場所により、腹痛として痛みが自覚されることもあれば、背中の痛みとして自覚されることもあります。そして、膵臓がんの場合、多くの痛みが鈍痛と言われる部類になります。
痛みの形式としては、内臓痛というものに分類されます。
したがって、切り傷やお腹の疝痛とは異なった痛みで、日常ではあまり経験しない痛みであるため、「痛み」であるとの理解が遅れることがあります。
患者さんはしばしば「痛みではない」と否定され、治療が遅れることになるのです。
内臓痛は医療用麻薬がとても良く効きます。
抗がん剤が効いてきて腫瘍が制御されて痛みが緩和されるまでには、一定のタイムラグがあります。その間も痛みを我慢するのではなく、医療用麻薬を適切に使うことによって痛みが緩和され、精神的な安定やQOLを保つことにつながるのです。
膵臓がん末期の痛み
高度進行期や末期の膵臓がんの痛みは、治療に難渋することがあります。医療用麻薬を用いても痛みが効果的に取れないこともしばしばあります。
特に膵臓の近くにある腹腔神経叢(ふくくうしんけいそう)に腫瘍が進展すると神経障害性疼痛を併発します。神経障害性疼痛は医療用麻薬だけでは緩和が難しい痛みです。
このような場合は、医療用麻薬の他に、鎮痛補助薬を併用したり(商品名リリカ、サインバルタなど)、神経ブロックを使うこともあります。
しかし、中には亡くなる直前まで我慢できないような痛みを経験することのない患者もいますし、緩和ケアの経験豊富な医師の治療によって、相当緩和できるので、過度に怖がることはありません。
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8月31日は大津先生の講演会
8月31日(土)に開催される『膵臓がん患者と家族の集い』では、緩和ケア専門医 大津秀一先生の講演『膵臓がんの緩和ケア~これだけはおさえておくこと~』があります。
膵臓がんに焦点を当てた緩和ケアの、聞き逃せない講演となります。ご参加をお待ちしております。
詳細と参加申込みは『膵臓がん患者と家族の集い』のオフィシャルサイトから。